注文住宅の階段の種類や配置の考え方|後悔を防ぐポイントを解説

注文住宅の階段の種類や配置の考え方|後悔を防ぐポイントを解説

2階建て以上の注文住宅を建てる際、階段のデザインや形状、配置は重要なポイントです。

一昔前までは玄関ホールや廊下に階段を配置するのが一般的でしたが、デザインやレイアウトのバリエーションも増えています。上下階をつなぐ通路として、お部屋を彩るアクセントとしても、階段は重要な間取りなのです。

そこで今回は、注文住宅の階段を考えるときに必要となる基礎知識を分かりやすくまとめます。おしゃれな階段の施工実例もご紹介しますので、イメージづくりにもお役立てください。

注文住宅は階段にこだわろう

スケルトン階段のおしゃれな注文住宅

上下階をつなぐ階段は、注文住宅における重要な間取りの1つです。

階段の位置によっては家事動線の効率が悪くなり、暮らし始めてから後悔するケースも少なくありません。逆に、適切な場所に階段を配置すれば、効率的な動線で暮らしやすい注文住宅をつくることも可能です。

昔は玄関ホールや廊下など決まった場所に階段を配置するのが定番でしたが、最近はリビングにつくるケースも多いです。ライフスタイルによって、適切な階段の種類や配置は異なります。ご自身に合う階段の配置やデザインを考えてみましょう。

注文住宅の階段の種類

まずは、注文住宅で採用されることが多い、階段の種類を把握しておきましょう。階段のデザイン・形状について、種類ごとの特徴をご紹介します。

デザインの種類

注文住宅の階段は、大きく分けると箱型・スケルトンの2種類あります。

箱型階段(ボックス階段)

注文住宅の箱型階段

箱型階段は、日本の住宅で昔から使われてきたデザインで、踏板と蹴込み板で構成されたすき間のない階段のことです。箱を積み上げたようなデザインなので、ボックス階段と呼ばれることもあります。

箱型階段は上下階を分割でき、階段下のデッドスペースをトイレや収納などに活用しやすいのがメリット。また、周囲を壁で囲むことが多いため、階段を目立たせずスッキリした空間をつくりやすいのも特徴です。

一方、壁の量が多く視線が抜けにくいため、階段自体や周囲のスペースに圧迫感が生まれやすいのが注意点。

スケルトン階段(オープン階段)

注文住宅のスケルトン階段

骨組みと踏板のみで構成されるスケルトン階段は、最近の注文住宅で採用されることが増えているデザインです。壁のない開放感のあるデザインにすることも多く、オープン階段と呼ばれることもあります。

蹴込み板や壁が無いスケルトン階段は、視線が抜けやすく開放感が高いため、リビングに設置することが多いです。階段自体がおしゃれなアクセントになり、空間のデザイン性を高めてくれるのもメリット。

スケルトン階段の詳細については、こちらのコラムもどうぞ。

 

形状の種類

階段の形状は大きく分けると4種類あり、使い勝手や設置に必要なスペースが変わります。

直線階段

注文住宅の直線階段

一か所も曲がりが無く、上下階を一直線につなぐ形状の階段です。シンプルな形状で必要な部材や工程を減らしやすいため、コストダウン効果が期待できます。

一方、踊り場が無い場合は、足を踏み外した際に一番下まで落下しやすい点に注意が必要です。必要に応じて手すりや踊り場を設けるなど、安全性への配慮が必要になります。

かね折れ階段

注文住宅のかね折れ階段

途中でL字型に曲がっている階段です。曲がり部分に踊り場を設置したり、斜めの段をつくったりして向きを90度変えます。

建物やお部屋の壁に沿って配置しやすく、スペースを有効活用しやすいのが、かね折れ階段のメリット。また、足を踏み外した際に途中で止まる可能性が高いのも特徴です。

折り返し階段

注文住宅の折り返し階段

途中で180度折り返して、上から見るとコの字型に見える階段です。傾斜をゆるやかにしやすく、転落の際も途中で止まるため安全性が高いのがメリットです。

ただし、大型家具を搬入しにくいケースがあるので要注意。また、曲がりが多くなる分、直線階段やかね折れ階段より若干コストが多めにかかる可能性もあります。

らせん階段

注文住宅の螺旋階段

柱を中心に、らせん状の踏板を配置した階段です。上から見たとき円状になり、省スペースで設置できるのがらせん階段のメリット。また、階段自体のデザイン性が高く、おしゃれなアクセントになるのも魅力です。

ただし、踏板の面積が小さく、中心に行くほど足を踏み外しやすい点に注意が必要です。ほかの階段形状に比べると、コストも高くなる傾向があります。

注文住宅の階段の配置

階段は配置も重要で、大きく分けるとホール階段、リビング階段の2パターンになります。それぞれメリット・デメリットがありますので、しっかり把握してライフスタイルに合う選択をしましょう。

ホール階段

注文住宅の玄関ホール階段

ホール階段は、昔から日本の住宅で採用されることが多く、生活スペースを通らず玄関から直接2階へ行けるのが大きなメリットです。

例えば、お子さまが友達を連れてきたとき、リビングを通らず2階の子供部屋へ直接行くことができます。階段と生活スペースを切り離すことで、LDKの生活音や料理の臭いが2階に広がりにくいのもうれしいポイント。

一方、お子さまの様子や交友関係を把握しづらく、リビングから2階に行く動線はやや長くなる傾向があるのがデメリットです。

リビング階段

注文住宅のリビング階段

最近増えているリビング階段の配置は、LDK中心のライフスタイルに向いています。

リビングやキッチンからホールを通らず2階に行けるため、家事効率の良い動線をつくりやすいのが大きなメリット。2階に行くときに必ずリビングを通るため、家族のコミュニケーションが生まれやすいのも魅力的なポイントです。

一方、上下階がつながるため冷暖房効率が低下しやすく、断熱性を高めるなど対策が必要です。また、コミュニケーションを取りやすい反面プライバシー性は低くなるため、LDKでの過ごし方や来客時の動線をシミュレーションすることも大切です。

後悔しない注文住宅の階段づくりのポイント

注文住宅のおしゃれな階段

実際に注文住宅の階段を考えるときは、次のポイントにこだわり、失敗や後悔を防ぎましょう。

動線

階段の配置を考えるときは、必ず上下階をつなぐ動線を1つずつシミュレーションしましょう。

ホール階段・リビング階段にはそれぞれメリット・デメリットがあり、どの動線を重視するかで適切な配置は変わります。

玄関から2階に行くシーンが多いなら、ホール階段の方が便利な動線になるかもしれません。逆に、LDKで過ごす時間が長いなら、直接2階に行けるリビング階段が便利でしょう。

少し手間がかかりますが、間取り図を見て1日の行動をシミュレーションして、効率の良い動線をつくれる階段の位置を考えてみてください。

使いやすい手すりを設置する

どのような階段にも手すりを付けるのが一般的ですが、形状や高さなど使い勝手にしっかりこだわりましょう。

階段の手すりは、床面から75~85cmの高さに設置するのが一般的です。身長によって適切な高さは異なるため、ご家族全員で使い勝手を確認しながら高さを決めましょう。

高齢のご家族や階段の上り下りが心配な方がいらっしゃる場合は、両側に手すりを付けるケースもあります。滑りにくいグリップの手すりなど種類もあるので、使い勝手に注目して選びましょう。

段数や幅

建築基準法では、階段の寸法について、次のように規定しています。

 

  • 幅75cm以上
  • 踏面15cm以上
  • 蹴上23cm以上

参照:建築基準法

ただし、これはあくまで最低限の基準で、使いやすい階段の寸法は人によって異なります。

例えば、小さなお子さまや高齢のご家族が居る場合は、幅を広く取ったり、勾配を緩くして蹴上を低くしたりする必要があります。ただし、その分階段の設置スペースが必要になるため、間取り全体のバランスを考えることも大切です。

実際に今のお住まいやモデルハウスの階段を上り下りしてみて、使いやすい階段の寸法を考えてみましょう。

踊り場の有無と広さ

階段の安全性を重視するなら、途中に踊り場を設けるのが効果的です。どなたでも使いやすく、万が一足を滑らせても途中で止まりケガのリスクを軽減できます。

ただし、踊り場をつくる分階段のスペースが広くなるので、居住スペースや収納とのバランスもしっかり考えましょう。

階段の途中に窓を設けることで、明るい空間にしたり、効率良く換気したりすることができます。

例えば、高い窓から自然光を採り入れて、スケルトン階段で下の階を明るくするといった工夫も可能です。

ただし、窓の場所によっては開閉しにくいケースもあるので、使い方に合わせて種類を選ぶことが大切です。

窓の種類や選び方のポイントは、こちらのコラムで詳しく解説しています。

 

コンセント

階段の途中にコンセントがあると、掃除機やフットライトなどいろいろな用途に使えるのでおすすめです。

最近はコードレス掃除機も増えていますが、コード式掃除機を使う場合は、階段の途中にコンセントがあれば便利です。もし使わなかったとしても邪魔にはならないので、コンセントを付けて後悔する可能性は低いでしょう。

注文住宅のコンセントの考え方はこちらのコラムで詳しく解説しています。

 

照明

階段の照明を選ぶときは、デザイン性やメンテナンス性にこだわりましょう。

吊り下げタイプのペンダントライト、壁面に付けるブラケットライトなど、照明の種類によって階段の雰囲気は大きく変わります。

また、照明の位置によって電球交換などメンテナンス性も異なります。

こちらのコラムで注文住宅の照明の種類や選び方のポイントを解説していますので、参考にしてみてください。

 

階段下スペースの活用

階段の下はデッドスペースにせず、収納やギャラリーなどいろいろな用途に有効活用しましょう。

昔は、階段下をトイレや物入などに活用することが多かったですが、スケルトン階段ならデスクスペースやギャラリーなど用途も広がります。

デッドスペースを有効活用することで、注文住宅全体の満足度や利便性アップにもつながります。

デザイン性

階段をただの通路として考えるのではなく、デザイン性にこだわっておしゃれな空間にすることも大切です。

例えば、スケルトン階段は存在感が大きいため、踏板や手すりの材質・カラーにこだわればおしゃれなアクセントになります。箱型階段も、材質やカラーコーディネートで、ワクワクするようなデザインに仕上げることも可能です。

次の章でいろいろなデザインの階段施工実例を紹介しますので、おしゃれなアイデアや工夫を上手に採り入れてみましょう。

おしゃれな階段の施工実例

最後に、クレバリーホームがお手伝いした注文住宅から、おしゃれな階段のある施工実例をピックアップしてご紹介します。

詳細ページに間取り図や全体の写真も掲載していますので、気になるおうちがあったらぜひチェックしてみてください。

実例①

注文住宅のスケルトン階段

蹴込み板と側板のないスケルトン階段を、照明の位置や陰影まで計算して、美しいアクセントに。

▼実例を見る⇒case114

 

実例②

注文住宅のリビングのスケルトン階段と吹抜け

吹き抜けリビングとスケルトン階段の組み合わせで、動線効率やデザイン性を両立。

階段下スペースをテレビ置き場として有効活用し、ムダのない間取りになっています。

▼実例を見る⇒case93

 

実例③

注文住宅のスケルトン階段とアクセントクロス

レンガ調のアクセントクロスとスケルトン階段の組み合わせで、外国の住宅のようなおしゃれな雰囲気に。

▼実例を見る⇒case89

 

実例④

注文住宅のスケルトン階段

リビングの内装に合わせたスケルトン階段は、主張しすぎずさりげないアクセントに。手すりの透明パネルで、安全性やプライバシー性にも配慮されています。

▼実例を見る⇒case80

 

実例⑤

注文住宅のおしゃれな箱型階段

一般的な箱型階段も、踏板や蹴込み板、壁のクロスの組み合わせでおしゃれに仕上げることができます。階段を壁と同色にしてシンプルにまとめ、モザイク柄のアクセントクロスで遊び心のある空間に。

▼実例を見る⇒case66

 

実例⑥

玄関のスケルトン階段

特注のスケルトン階段の下に坪庭を配置し、趣のある日本庭園のような玄関に仕上がっています。

▼実例を見る⇒case58

 

実例⑦

モダンテイストのスケルトン階段

アルミの骨組みやクリアパネルを組み合わせ、モダンな印象のスケルトン階段に。モダンテイストのLDKとマッチして、素敵なアクセントになっています。

▼実例を見る⇒case31

 

クレバリーホームでは、ほかにもたくさんの施工実例を公開しています。「写真から探す」⇒「内観」⇒「階段」で絞り込み検索もできますので、ぜひ理想の注文住宅づくりにお役立てください。

▼クレバリーホームの施工実例一覧

 

まとめ

注文住宅の階段は、デザイン性や利便性を左右する大切な間取りの1つ。レイアウトや形状それぞれにメリット・デメリットがあるので、ライフスタイルや全体の間取りに合わせて選ぶようにしましょう。

クレバリーホームは、全国のモデルハウスで間取りづくりのご相談を受け付けています。おしゃれで使いやすい階段のアイデアを体験できるモデルハウスもございますので、ぜひお気軽にご来場ください。

▼クレバリーホームのモデルハウス一覧