回遊動線のある間取り実例|メリット・デメリットや後悔しない間取りの考え方を解説

回遊動線のある間取り実例|メリット・デメリットや後悔しない間取りの考え方を解説

行き止まりのない回遊動線は家事効率の良い間取りをつくれる反面、「いらない」「後悔する」などネガティブな意見も少なくありません。

実際、回遊動線にはメリット・デメリット両面があり、よく考えずに取り入れると実際に暮らし始めてから後悔する可能性もあります。

そこでこの記事では、住まいに回遊動線を取り入れるメリット・デメリットと、後悔を防ぐための間取りの考え方を詳しく解説します。

実際に回遊動線を取り入れた注文住宅の間取り実例もご紹介しますので、理想のイメージづくりにもお役立てください。

回遊動線とは?

回遊動線のあるアイランドキッチンの間取り

回遊動線とは、行き止まりがなく移動しながら荷物を出し入れしたり、家事をこなしたりできる間取りのことを指すのが一般的です。

そもそも動線とは、人が移動する経路を線で表したもので、目的や用途によって次のような種類があります。

 

※動線の種類

  • 家事動線:料理や掃除などの家事を行う際の移動経路
  • 洗濯動線:洗濯物を洗う、干す、しまうまでの移動経路
  • 生活動線:日常の生活をする際の移動経路
  • 通勤動線:通勤や通学時の準備などの移動経路
  • 帰宅動線:帰宅して、手を洗い、着替えたりしてリビング等へ行くまでの移動経路
  • 衛生動線:トイレや洗面、浴室などへの移動経路
  • 来客動線:ゲストが訪れた際に移動する経路

 

一般的な間取りでは、移動の際に行き止まりで引き返す動線になります。

回遊動線の場合は行き止まりがなく、シーンに応じて最短ルートで移動できるため、毎日の生活や家事を効率よくこなすことができます。

回遊動線のある間取りを考える際は、上記の動線の種類を把握したうえで、優先順位を付けることが大切です。

次の章で、実際に回遊動線を取り入れた間取り実例を見ながら、イメージをつかんでみましょう。

回遊動線のある間取り実例

クレバリーホームが手がけた注文住宅の中から、回遊動線を取り入れた間取り実例をピックアップしてご紹介します。

実例①

回遊動線のある家の外観

1F

回遊動線のある二世帯住宅の間取り図1F

2F

回遊動線のある二世帯住宅の間取り図2F

アイランドキッチンを中心に、ランドリールーム・洗面所・玄関をつなげた回遊動線をつくった間取り実例です。

 

回遊動線のあるアイランドキッチン

アイランドキッチンと横並びのダイニングテーブルは、周囲を一周できる回遊動線で効率良く料理や配膳をこなせる間取りです。

 

回遊動線の一部になっているランドリールーム 回遊動線の一部になっている洗面所

キッチンからはランドリールームに直結しており、隣の洗面所から玄関ホールを通ってLDKまで戻れる動線になっています。

料理と洗濯を同時進行したり、帰宅後すぐに手洗いをしたり、シーンに応じて最短ルートを選びやすく効率の良い生活を送れます。

▼実例を見る⇒case142

 

実例②

回遊動線のある家の外観

1F

回遊動線のある家の間取り図1F

中二階

回遊動線のある家の間取り図中2階

2F

回遊動線のある家の間取り図2F

※本物件は構造計算を行った物件となります。

LDKから水回りをつなぐ回遊動線をつくり、シーンに応じて最短ルートを選びやすい間取りです。

 

回遊動線のある家のLDK

LDKは回遊できるキッチンを中心に、リビング・ダイニングへのスムーズな動線で配膳や移動の効率を高めています。

 

回遊動線のある家のパントリー 回遊動線のある家のランドリールーム

キッチンからはパントリー⇒洗面⇒ランドリールームへの動線を設け、効率良く家事をこなせるようになっています。

▼実例を見る⇒case141

 

実例③

回遊動線のある家の外観

1F

回遊動線のある家の間取り図1F

2F

回遊動線のある家の間取り図2F

※本物件は構造計算を行った物件となります。

1階全体を回遊できる動線で、帰宅時や家事をこなす際に最短ルートを選びやすい間取りです。

 

回遊動線のある家のシューズクローク 回遊動線のある家の玄関から外につながるドア

玄関には通り抜けられる土間収納を設置し、お庭につながる動線も設けることでさまざまなシーンで使いやすい間取りに。

 

回遊動線のある家のパントリー

キッチンの隣に設けたパントリーは、ウォークスルータイプにしてランドリールームに直結。

脱衣室や玄関ホールにも抜けられるようにすることで、住まい全体の回遊動線をつくっています。

▼実例を見る⇒case140

 

実例④

回遊動線のある家の外観

1F

回遊動線のある家の間取り図1F

2F

回遊動線のある家の間取り図2F

玄関を通る回遊動線によって、お出かけや帰宅時にスムーズに移動できる間取りです。

 

回遊動線のある家のシューズクローク 回遊動線のある家のシューズクロークの内部

玄関横には大容量のシューズクロークを設け、趣味のアイテムや自転車も置けるようになっています。

引き戸を閉めることができるため、いつでも玄関をスッキリした状態にキープできるのもうれしいポイント。

 

回遊動線のある家のキッチンからシューズクローク 回遊動線のある家のキッチン

シューズクロークからはパントリー⇒キッチンにつながっていて、買い物帰りなどにすぐ食材などをしまうことができます。

▼実例を見る⇒case139

 

実例⑤

回遊動線のある家の外観

1F

回遊動線のある家の間取り図1F

2F

回遊動線のある家の間取り図2F

帰宅動線や家事動線をつなぎ、LDKや水回りを回遊できる効率の良い間取りです。

 

回遊動線のある家の洗面所 回遊動線のある家の洗面所と脱衣所

玄関ホールから洗面所⇒脱衣所につながり、帰宅後すぐ手洗いをしたりシャワーを浴びたりできるようになっています。

 

回遊動線のある家のランドリールーム

回遊動線の中にランドリールームを組み込むことで、移動しながら洗濯機を回したり、取り込んだりできるのも効率の良いポイントです。

▼実例を見る⇒case138

 

回遊動線のメリット

洗面所の回遊動線

間取りに回遊動線を取り入れることで、次のようなメリットが生まれます。

効率の良い動線をつくりやすい

行き止まりの無い回遊動線はシーンに応じて最短距離で移動しやすく、移動効率を高められるのが大きなメリットです。

例えば、キッチンから洗面所やランドリールームへのショートカットつくって回遊動線にすることで、大きく回り込む必要がなくスムーズに家事をこなせます。

行き止まりを無くして回遊動線にすることで、普段の家事や生活に伴う移動距離を短縮できることが多いです。

家族同士が渋滞しにくい

回遊動線で複数のルートを用意することで、忙しい朝の時間帯などに家族同士で渋滞するのを避けられるのもメリットの1つです。

特に、家族の人数が多く通勤や通学時間が重なる場合、回遊動線で渋滞を回避するメリットも大きくなります。

間取りが広く見える

行き止まりの回遊動線を取り入れることで、視覚的に間取りが広く見える効果も期待できます。

例えば、行き止まりの壁ではなく通路にすることで、視線が抜けて同じ床面積でも広く見せることができます。

住まいの中を回遊動線で一周できるようにすることで、開放感が高くなるケースも多いです。

回遊動線のデメリット

回遊動線のある間取り

回遊動線の間取りには、次のようなデメリットもあるため、よく考えないと後悔するリスクもあります。

具体的な対策は次の章で解説しますので、ここではどんなデメリットがあるのか覚えておきましょう。

開口部が増える

回遊動線をつくるためには開口部やドアが増え、冷暖房効率の低下や建築費用の増加などのデメリットが発生します。

回遊動線で複数の部屋がつながると、エアコンや暖房の空気が逃げてしまうため、冷暖房効率が低下しやすいです。

また、ドアの材料費や工事費が増えるため、建築費用が多めにかかる可能性もあります。

開口部が増えた分壁の量が減り、家具などを置きにくくなるのも注意すべきデメリットです。

通路が増えて居住スペースが圧迫される

回遊動線をつくるために通路が増える場合、居住スペースが圧迫されて狭くなってしまう可能性も考えられます。

同じ延床面積の中で廊下が増えると、その分リビングや寝室に避けるスペースは少なくなってしまいます。

特に、延床面積が広い家で回遊動線をつくる場合、廊下が長くなりやすいため注意が必要です。

耐力壁を配置しにくい

開口部やドアには筋交いなどの耐力壁を配置できないため、回遊動線をつくる際は耐震性とのバランスが重要になります。

地震に強い家をつくるためには耐力壁をバランス良く配置する必要があります。

回遊動線によって耐力壁の場所が制限されると、耐震等級の取得が難しくなったり、耐震性を確保するために追加費用がかかったりする可能性も。

プライバシー性が低下しやすい

回遊動線の途中にある間取りは、プライバシー性が低下しやすいのも注意すべきデメリットです。

例えば、脱衣所が回遊動線の中にあると、入浴中に家族が通る頻度が高くなり使いづらくなる可能性があります。

回遊動線の後悔を防ぐ間取りの考え方

回遊動線のある間取りの図面と模型

前述したデメリットに対策し、回遊動線の後悔を防ぐための間取りの考え方をチェックしておきましょう。

回遊動線が必要かどうか確認する

まずは、ライフスタイルや間取り全体のバランスを踏まえて、回遊動線が必要かどうか確認することが大切です。

回遊動線はあくまで目的ではなく手段であり、無理に取り入れると前述したデメリットが大きくなり後悔するリスクが高くなります。

効率の良い家事や生活のために間取りをつくったら、結果的に回遊動線になっていたぐらいが理想的です。

間取りづくりがうまくいかず悩んだときは、回遊動線の必要性について改めて考えてみましょう。

家事や生活をシミュレーションする

暮らしやすい回遊動線をつくるためには、家事や生活による移動を1つずつシミュレーションすることも大切です。

間取りプランができたら、朝起きてから夜眠るまでの行動を1つずつシミュレーションして、ムダが無いかチェックしてみましょう。

さまざまなシーンを想定して動線をチェックすることで、必要な開口部の位置や数などが明確になり、使いやすい回遊動線をつくりやすくなります。

通路と居住スペースのバランスを考える

回遊動線によって居住スペースが圧迫されないように、それぞれのバランスを考えるのも大切なポイントです。

必要な部屋数や居住スペースを確保したうえで、水回りなどの間取りを効率よくつないで回遊動線をつくりましょう。

また、単体で通路をつくるのではなく、ほかの用途の間取りを通り抜けられるようにして効率の良い間取りにするのもおすすめです。

例えば、パントリーをウォークスルーの間取りにして、収納と通路の2つの役割を持たせればムダがありません。

なるべく効率の良い間取りを考えて、動線効率と居住スペースのバランスを上手に取りましょう。

収納量や家具置き場を確保

回遊動線をつくる際は、住まい全体の収納量や家具置き場を確保することも大切です。

前述したように回遊動線をつくると開口部が多くなり、収納が不足したり家具を置きにくくなったりして後悔する可能性があります。

まずはどれくらいの収納が必要なのか把握して、なるべく設備や造作収納などを設置すると、回遊動線で開口部が増えても不便を感じにくくなります。

こちらのコラムで注文住宅の収納量の考え方や間取りアイデアをご紹介していますので、参考にしてみてください。

 

まとめ

回遊動線は便利な間取りアイデアですが、デメリットもあるためよく検討しないと後悔してしまうリスクも考えられます。

メリット・デメリットをしっかり把握したうえで、住まいに回遊動線の間取りを取り入れるか判断しましょう。

また、回遊動線は単体で考えるのではなく、住まい全体のバランスを取る必要があるため、プロに相談してアドバイスをもらうことも大切です。

クレバリーホームは全国のモデルハウスで、間取りづくりに関するご相談を受け付けています。

ぜひお気軽にお近くのモデルハウスにご来場ください。

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