小上がり和室のメリット・デメリットと失敗を防ぐポイント|おしゃれな施工実例も紹介
最近の新築住宅では純和風の本格的な和室を見かけることが減りましたが、リビングの一角に設ける小上がり和室の採用例が増えています。
小上がり和室は本格的な和室より省スペースで、手軽に取り入れることができるのが魅力です。
しかし、段差やデザイン性などのデメリットも気になるところ。
そこでこの記事では、小上がり和室のメリット・デメリット両面を掘り下げ、後悔や失敗を防ぐためのポイントについて解説します。
実際に小上がり和室を取り入れたおしゃれな注文住宅の施工実例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
小上がり和室とは?
小上がり和室とは、フローリングより一段高くしたタタミスペースや和室のことです。
最近の注文住宅ではリビングの一角に3~4帖前後の小上がり和室をつくるケースが増えています。
本格的な和室より省スペースで取り入れることができ、気軽に横になったり客間として利用したり、使い勝手の良い間取りアイデアです。
小上がり和室のメリット
新築注文住宅に小上がり和室を取り入れることで、次のようにさまざまなメリットが生まれます。
気軽に横になれるスペースができる
リビングの一角などに小上がり和室をつくることで、直接座ったり横になったりできるスペースが生まれるのはメリットの1つです。
フローリングだとカーペットやラグなどを敷かないと横になれませんが、小上がり和室の畳ならそのまま横になることができます。
ソファやチェアなどを置かなくても、座布団やクッションがあれば座れるのも畳の小上がり和室ならではの魅力ですね。
用途が幅広い
一般的なフローリングのスペースに比べて、用途が幅広いのも小上がり和室のメリットです。
※小上がり和室の用途例
- 食後の昼寝
- キッズスペース
- アイロンがけ
- 在宅ワーク
- 趣味の読書や作業
- 来客対応
気軽に座ったり横になったりできる小上がり和室は、上記のようにさまざまな用途に対応しやすいです。
1つの部屋で複数の用途に使えるため、結果的に住まい全体のスペースを節約することにもつながります。
フローリングのホコリが入らない
フラットタイプのタタミコーナーと比べて、段差があるためフローリングのホコリが入らず清潔な状態を保ちやすいのも小上がり和室ならではのメリットです。
リビング全体のホコリが入らないため、前述したような座ったり横になったりする用途にも活用しやすいです。
段差に座れる
小上がり和室の段差部分は、高さを調整することでソファやチェア替わりに座るスペースとして活用できるのもメリットの1つ。
ゲストを招いたときなど、段差部分に腰掛けてお茶やお話を楽しむこともできます。
床下を収納として活用できる
段差を設けることで、床下部分を収納として活用できるのも小上がり和室のメリットです。
本来デッドスペースになる場所を収納にできるため、床面積を消費せず収納力を高めることができます。
お子さまのおもちゃや掃除用具など、小上がり和室やリビングで使うものを収納すれば利便性も高められます。
空間に立体感が生まれる
小上がり和室を設けたお部屋に立体感が生まれるのも魅力的なポイントです。
あえて段差を設けることで、視線を誘導して空間全体のデザイン性を向上させることができます。
畳のカラーや小上がり和室の仕上げ方法を選び、お部屋全体のテイストを調整することも可能です。
リビングの荷物の一時置き場として使える
リビング内に小上がり和室があると、荷物を一時的に置く場所に活用できるのも意外なメリットです。
例えば、リビングの荷物をすべて小上がり和室に置いて、フローリング全体にロボット掃除機をかけたり、ワックスがけをしたりすることも可能です。
小上がり和室のデメリット
さまざまなメリットがある反面、小上がり和室には注意すべきデメリットもあります。
バリアフリーではなくなる
小上がり和室で段差が生まれることで、バリアフリーではなくなるのはデメリットの1つ。
一般的な小上がり和室は20~30cm前後の段差を設けることが多く、スロープなどを付けてバリアフリーにするのは難しいです。
ただし、使い方に合わせて高さを調整すれば、一度腰掛けてから小上がりに入るなど、負担の少ない活用も可能です。
小さなお子さまのケガのリスクがある
出産や子育てなど小さなお子さまが居るご家庭では、小上がり和室の段差の角でケガをするリスクがあるのも注意すべきポイントです。
小上がり和室から転落してフローリングで体を打ったり、転倒した際に段差の角でケガをしたりするリスクがあります。
お子様が小さいうちはゲートなどで小上がりを利用できないようにしたり、角を緩衝材などで保護したり、怪我を防止する工夫を取り入れましょう。
ロボット掃除機が使えない
小上がり和室の段差をロボット掃除機は乗り越えられないため、お部屋全体の掃除を自動化できないのもデメリットの1つ。
ただし、前述したように小上がり和室はフローリングよりホコリが溜まりづらいため、お掃除の頻度は抑えることができます。
また、小上がり和室のホコリをほうきなどでサッと下に落としておき、ロボット掃除機に掃除を任せるのも1つのアイデアです。
圧迫感が出ることもある
小上がり和室の段差があると、フラットなフローリングより圧迫感が出てお部屋が狭く見えてしまうケースもあります。
特に、小上がり和室の存在感が大きい場所に配置すると、床が狭く見えて圧迫感を覚える可能性があります。
小上がり和室をつくる際は、リビング内の見え方をシミュレーションし、配置やデザイン、段差の高さなどを調整して圧迫感が出ないように対策しましょう。
重量のある家具を置きづらい
小上がり和室の畳には、キャビネットなど重量のある常設家具を置きづらいのもデメリットの1つです。
畳にも家具を置くことはできますが、時間が経つと凹んでしまい、移動した際に目立つケースが多いです。
小上がり和室を設置する際は、あらかじめ使う物をリストアップして造作収納で対応しましょう。
和室内のクローゼットや小上がりの段差を活かした収納をつくれば、キャビネットなどを置く必要がなく不便に感じるのを防ぐことができます。
小上がり和室の収納アイデアについては、後半の施工実例で紹介しますのでそちらも参考にしてください。
小上がり和室の後悔や失敗を防ぐポイント
前述したデメリットの対策を踏まえて、小上がり和室による後悔や失敗を防ぐための考え方や間取りづくりのポイントを押さえておきましょう。
まずは目的や用途を確認
小上がり和室を取り入れる場合、最初に目的や用途をしっかり考えておくのが後悔や失敗を防ぐポイントです。
キッズスペースや家事スペースなど小上がり和室は用途が広いですが、適切な広さやレイアウトは異なります。
何のために小上がり和室をつくるのか明確になっていないと、使いやすい間取りを考えることはできません。
明確な目的や用途がない場合は、小上がり和室をつくらずリビングを広くした方が良いケースも考えられます。
また、コンパクトな小上がり和室ではなく、個室の和室を設けたほうが使い方にマッチするケースも。
こちらで注文住宅の和室間取り実例を紹介していますので、参考にしてみてください。
用途に合わせて広さを決める
前述した用途に合わせて、小上がり和室の広さを検討するのも失敗を防ぐコツです。
小上がり和室は広すぎるとリビングスペースが圧迫されてしまい、狭すぎても使い勝手が悪くなります。
用途や使う人数に合わせて、ピッタリな広さを設定しましょう。
段差の高さを調整する
小上がり和室の使い勝手やデザイン性に関わる、段差の高さを調整することも大切です。
まずは、小上がり和室に出入りしやすく、つまずいたり転倒したりしない高さを考えましょう。
また、小上がり和室の段差に腰掛ける用途の場合、出入りだけでなく座りやすい高さを考える必要もあります。
小上がり和室の場所によってはリビングに圧迫感が出ることもあるため、狭く見えないような配置や高さも考えましょう。
間仕切りの必要性を考える
リビング内に小上がり和室を設ける場合、用途に合わせて間仕切りの必要性を考えるのも後悔や失敗を防ぐポイントです。
例えば、キッズスペースや食後のくつろぎスペースとして使うなら、間仕切りのないオープンレイアウトがマッチします。
書斎や来客スペースなど、プライバシー性が求められる用途の場合、間仕切りを付けて個室化できるようにした方が使いやすいでしょう。
使いやすい場所を考える
小上がり和室の用途に合わせて、使いやすい場所に配置するのも失敗を防ぐコツです。
キッズスペースがメインの用途なら、対面キッチンから見える場所に配置すると家事と子育てを両立しやすくなります。
在宅ワークや趣味などに小上がり和室を活用する場合は、キッチンやリビングから離した方が使いやすくなります。
畳の材質やメンテナンス性を確認する
小上がり和室に使う畳の材質は複数あるため、メンテナンスサイクルや費用について確認してから選びましょう。
一般的ない草の畳の場合5年前後で表替えが必要になりますが、耐久性が高い樹脂製の畳も選ぶことができます。
また、お子さまが小上がり和室で食事をとる場合も、汚れが染みこみにくい樹脂製の畳にしておくとメンテナンスしやすくなります。
自然素材のい草の香りや質感を楽しむのか、耐久性やメンテナンス性を高めるのか、用途に合わせて畳の種類を選びましょう。
小上がり和室のある注文住宅施工実例
クレバリーホームが手がけた注文住宅の中から、小上がり和室を取り入れた施工実例をピックアップしてご紹介します。
各実例の詳細ページに間取り図や全体の写真も掲載していますので、気になるおうちがあったらぜひチェックしてみてください。
実例①
リビングのソファ横に小上がり和室を設け、さまざまな過ごし方ができるようにした間取り実例です。
畳で横になったり、段差に腰掛けたり、過ごし方が増えることでより魅力的なリビングに仕上がっています。
実例②
小上がり和室とダウンフロアを組み合わせ、立体感のあるリビングに。
自然光がたっぷり入る小上がり和室は、家族の存在を感じながらお子さまが遊べるキッズスペースにぴったりです。
実例③
3帖の小上がり和室は、お子さまのお昼寝や遊び場にピッタリな広さ。
床下を収納スペースとして活用でき、リビングで使う物をしまう場所にもなっています。
実例④
キッズスペースになっている小上がり和室は、段差を低くすることでお子さまが出入りしやすくなっています。
小窓でキッチンから様子が見えるようになっているのも、使いやすい工夫の1つ。
実例⑤
リビングに隣接する5帖の小上がり和室は、床の間や天井などデザインにもこだわりLDKのおしゃれなデザインの一部になっています。
床下収納はお孫さんのおもちゃ入れに活用し、LDKが散らからないように工夫されています。
実例⑥
床の間や地窓など日本的なデザインを取り入れつつ、現代のLDKにもマッチするモダンテイストのおしゃれな小上がり和室です。
キッチンから小上がり和室が見えるレイアウトで、お子さまの遊び場としても活用しやすいです。
実例⑦
壁のないオープンレイアウトの小上がり和室は、圧迫感がなくさまざまな用途に活用できるスペースに。
お子さまの遊び場や昼寝スペースなど、家族の存在を感じながら過ごせる素適なスペースです。
実例⑧
寝室に小上がり和室を配置し、ベッドの代わりに活用した実例です。
就寝時だけでなく、畳で横になったり段差に腰掛けたり、寝室での過ごし方が広がるアイデアです。
実例⑨
リビングの間取りに合わせて小上がり和室の角を斜めにし、圧迫感のないデザインに。
床下を大容量の収納として活用でき、リビングの収納力や利便性も高めてくれます。
実例⑩
ダイニングに隣接した小上がり和室は、間仕切りをオープンにすればLDKにつながり開放的な空間に。
引き戸を閉めて個室化できるため、来客時のゲストルームとしても活用できます。
小上がり和室は後付けできる?
注文住宅の新築時に小上がり和室を設けるか迷う方の中には、後付けを検討するケースも多いようです。
結論としては、将来リフォームで小上がり和室を後付けすることは可能ですが、費用や使い勝手を考えると新築時に付けておくのがおすすめです。
リフォームで小上がり和室を後付けする場合、空間に圧迫感が出たり、使い勝手が悪くなったりしないようにレイアウトを工夫しておく必要があります。
場合によっては間取り変更などが必要になるケースもあり、費用が多めにかかる可能性が考えられます。
将来小上がり和室が必要になる可能性があるなら、新築時に付けておいた方が費用を抑えて暮らしやすい間取りをつくりやすくなるのでおすすめです。
まとめ
小上がり和室にはメリット・デメリットがあり、ライフスタイルや用途に合わせて取り入れることが大切です。
後悔や失敗しやすいポイントを把握して対策し、使いやすくおしゃれな小上がり和室のある注文住宅をつくりましょう。
クレバリーホームは、全国のモデルハウスで小上がり和室を含めた間取りのご相談を受け付けています。
ぜひお気軽にお近くのモデルハウスにご来場ください。