注文住宅とは?相場やメリット・デメリット、分譲住宅や建売住宅との違いも解説
一戸建てのマイホーム検討する際、建売住宅・分譲住宅・注文住宅などさまざまな種類があり、初めてだと違いが分かりにくいこともありますよね。
特に、注文住宅は間取りやデザインを自由に決められる反面、決まった形がないため、どのようなものなのか疑問に感じる方も多いようです。
また、注文住宅は延床面積や仕様によって費用が変動するため、どれくらいのお金が必要なのかも気になるポイント。
そこでこの記事では、注文住宅の種類や分譲住宅・建売住宅との違い、メリットやデメリットや費用相場について詳しく解説します。
1,000~4,000万円台の価格帯別に注文住宅の傾向も解説しますので、ぜひ理想のマイホームづくりにお役立てください。
目次
一戸建ての注文住宅とは?わかりやすく解説
注文住宅とは、購入した土地で、ハウスメーカーや工務店を自由に選び、要望を盛り込んだマイホームを建築できる住宅のことです。
フルオーダーの注文住宅の場合、間取りや内外装のデザイン、耐震性や断熱性などの住宅性能、キッチンやユニットバスなどの設備を自由に選ぶことができます。
ただし、あらかじめ用意されたプランがあり、選べる部分を絞っているセミオーダー住宅や規格住宅などのプランも存在します。
予算内で理想のマイホームを建てるためには、どんな注文住宅の種類があり、どれくらいの費用がかかるのかなどを知っておくことが大切です。
注文住宅の種類とは?
注文住宅と一口に言ってもさまざまな種類があり、プランの自由度などが異なります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットなどを詳しくみていきましょう。
フルオーダー住宅
フルオーダーの注文住宅とは、間取りや使用する外装材・内装材の種類やカラー、設備などの仕様を自由に決められる形式です。
フルオーダーの注文住宅なら、自分の好みやライフスタイルを盛り込み、世界に1つだけのマイホームが手に入るのがメリットです。
しかし、フルオーダーは選ぶべきポイントが多いため検討期間が長くなり、要望を盛り込むと費用も多くかかりやすい傾向があります。
建売住宅や分譲住宅だと気に入ったデザインが見つからない、妥協せずこだわりを盛り込んだマイホームを建てたい方は、フルオーダーの注文住宅が向いています。
セミオーダー住宅
セミオーダー住宅とは、住宅会社が用意したベースプランを基に、間取りやデザインなどをカスタマイズできる注文住宅の一種です。
あらかじめ用意されたベースプランをもとに考えられるため検討期間を短縮でき、規格化によってコストパフォーマンスが高いのもセミオーダー住宅のメリットです。
ただし、プランをどこまで変更できるかは住宅会社によって異なるため、建てたい注文住宅によってはフルオーダーの方が向いていることもあります。
セミオーダーの詳細について、合わせてこちらの記事をご確認ください。
規格住宅
規格住宅とは、住宅会社が事前に用意したプランを選ぶ住宅商品のことです。
ハウスメーカーや工務店が用意した間取りプランからライフスタイルに合う物を選ぶ点はセミオーダー住宅と同じですが、大幅なプラン変更ができない点が異なります。
基本的に間取りを変更することはできず、内装や外装のカラーや設備のオプションなどを選ぶことが多いです。
セミオーダー住宅より選択肢を絞ることで検討期間をさらに短くでき、コストパフォーマンスが高いのも規格住宅のメリット。
また、プランごとの価格が明確なので、予算オーバーのリスクが少ないのも魅力的なポイントです。
規格住宅の詳細についてはこちらのコラムもご覧ください。
建築条件付き土地
契約方法の一種ですが、建築条件付きの土地に建てる注文住宅についてもチェックしておきましょう。
建築条件付き土地とは、購入後一定の期間内に指定された住宅会社と建築請負契約を結ぶことが決められている土地のことで、「売り建て住宅」と呼ばれることもあります。
ハウスメーカーや工務店を自由に選べない反面、一般的な相場より割安な価格で販売されていることが多いのが建築条件付き土地のメリット。
指定の住宅会社が要望にマッチする場合は、お得に注文住宅を建てられる可能性があります。
ただし、間取りやデザイン、設備などをどこまで選べるかは、住宅会社によって異なり、特殊な間取りや要望は実現できないケースも。
注文住宅と建売住宅・分譲住宅の違い
一戸建てのマイホームを検討する際は、注文住宅と建売住宅・分譲住宅の違いを把握し、ご自身に合う選択をすることも大切です。
注文住宅と建売住宅・分譲住宅にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、どれがマッチするかは人それぞれ。
具体的な違いをチェックしていきましょう。
建売住宅・分譲住宅とは?
建売住宅と分譲住宅は建物と土地をセットで販売する住宅のことで、ほぼ同じような意味で使われることが多いです。
分譲住宅は、住宅会社がまとめて広い敷地を仕入れて分割し、複数戸まとめて販売されるケースを指すことが多いです。
建売住宅も複数戸まとめて販売されることもありますが、1戸のみで販売されるケースもあります。
注文住宅と建売住宅・分譲住宅の違い
注文住宅と分譲住宅・建売住宅の大きな違いは契約のタイミングです。
一般的に、注文住宅は着工前に工事請負契約を結び、分譲住宅や建売住宅は完成後に不動産売買契約を結びます。
注文住宅はプランが完成したらハウスメーカーや工務店と契約を結び、工事期間を経て完成~引き渡しとなります。
一方、分譲住宅や建売住宅は基本的に完成した状態で販売されるため、契約後すぐに引き渡しとなります。
分譲住宅や建売住宅は工事期間がないため早く入居できる反面、間取りやデザインを変えることはできません。
ほかにも、注文住宅と建売住宅・分譲住宅にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
詳しくはこちらのコラムもご覧ください。
分譲住宅と注文住宅どっちがいい?
結論としては、分譲住宅や建売住宅、注文住宅どちらがマッチするかは人それぞれです。
分譲住宅や建売住宅で気に入った間取りやデザインの物件が見つかれば、スムーズに理想のマイホームでの暮らしをスタートできる可能性があります。
しかし、ライフスタイルに合う間取りが見つからない、細かい部分にもこだわりたい場合は、自由度の高い注文住宅の方が向いているかもしれません。
参考として、住宅金融支援機構のフラット35を利用して建売住宅と注文住宅を建てた方の割合を見てみましょう。
参照:住宅金融支援機構 2023年度 フラット35利用者調のデータを基に弊社作成
フラット35の利用別割合を見ると、建売住宅は20.4%、土地付注文住宅は29.1%、注文住宅は15.1%となっています。
土地付注文住宅は前述した建築条件付き土地のことで、建築請負契約後の着工になるため注文住宅の一種になります。
土地付注文住宅と注文住宅を合計すると44.2%となり、建売住宅の2倍の割合です。
このようにデータで見ると、戸建てのマイホームは注文住宅を選ぶ人の割合が多いことが分かります。
なぜ注文住宅を建てる人が多いのか、具体的なメリットを次の章からチェックしていきましょう。
注文住宅のメリットとは?
注文住宅はプランを決めてから建築請負契約を結ぶため、次のようにさまざまなメリットがあります。
好きな間取りやデザインにできる
自身の好きなデザインや家族構成に合わせた間取りをつくれるのは、注文住宅の大きなメリットです。
建売住宅や分譲住宅は完成した状態で販売されるため、立地が良くても間取りが家族構成に合わなかったり、デザインが気に入らなかったりすることも少なくありません。
注文住宅は工務店やハウスメーカーと相談してプランを煮詰めてから家を建てるため、自分が好きなデザインで自由に設計できるのです。
フルオーダーの注文住宅なら間取りを細かく調整できますし、セミオーダー住宅や規格住宅でも、ライフスタイルに合わせてカスタマイズできるため、暮らしやすいマイホームを建てることができます。
予算に合わせてプランを調整できる
手持ちの資金や住宅ローン計画に合わせてプランを調整できるのも、注文住宅のメリットの1つです。
注文住宅は高くなるというイメージをお持ちの方も多いですが、間取りに工夫して延床面積を抑えたり、シンプルなデザインでコストダウンしたりする方法もあります。
こだわりをたくさん盛り込むと費用は高くなりますが、優先順位を付けてこだわりたい部分にだけお金をかけて、コストパフォーマンスが高い注文住宅を建てることもできるのです。
注文住宅の費用を調整する方法について、こちらのコラムで詳しく解説しています。
建築工程をチェックできる
契約後に着工する注文住宅は建築工程をチェックできるため、欠陥住宅のリスクを軽減しやすいのもメリットです。
建売住宅や分譲住宅は完成状態で販売されるため、屋根裏や床下などは見える範囲しかチェックできず、不具合や手抜きを見極めるのは難しいです。
注文住宅は工事中の現場を見学することができるため、住宅会社の管理にくわえて、ご自身の目で打ち合わせ通りになっているか確認できます。
また、自分のこだわりの住まいがつくり上げられる工程を1から見ることも、より注文住宅への愛着や満足度が高まるポイントです。
注文住宅のデメリットとは?
建売住宅や分譲住宅と比較した際、注文住宅には注意すべきデメリットもあります。
対策とセットで覚えておきましょう。
入居まで時間がかかる
注文住宅は土地や建物のプランが決まってから着工するため、完成した物件を購入する建売住宅や分譲住宅より入居するまでに時間がかかります。
購入前に建てられている建売住宅や分譲住宅は、売買契約を結んで手続きが終わればすぐに住み始めることが可能です。
一方で注文住宅は、土地探しやハウスメーカー選びなどの準備期間、仕様決めや契約から着工まで含めると10~15か月前後の時間がかかります。
注文住宅を検討する際は、どのような工程があり、どれくらいの時間がかかるのか把握し、ゴールから逆算してスケジュールを建てることが大切です。
こちらのコラムで注文住宅のスケジュールに付いて詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
予算オーバーの可能性がある
定価のない注文住宅は、要望を盛り込むと建売住宅や分譲住宅よりも費用が高くなり、予算オーバーする可能性があるのも注意すべきデメリットです。
注文住宅は選べる部分が多い反面、延床面積が広くなったり、設備や建材のグレードが上ったりして費用が高くなるケースもあります。
詳しい相場は次の章で解説しますが、注文住宅は建物住宅より1,000万円前後費用が高くなることが多いです。
予算オーバーへの対策は、原因を知り、要望に優先順位を付けてプランをつくるのが効果的です。
こちらのコラムで注文住宅が予算オーバーする原因、費用を削る方法について詳しく解説しています。
完成まで実物を見ることができない
注文住宅は契約後に着工するため、完成まで実物を見ることができず、外観や間取り・内装をイメージしにくいのもデメリットと言えます。
建売住宅や分譲住宅は完成した状態を内見して購入するか否かを決定できますが、注文住宅は完成品を見ずにプランを決定する必要があります。
上手く理想のイメージをプランに盛り込めないと、完成してから実物を見て後悔する可能性も考えられるのです。
注文住宅のイメージ違いによる失敗や後悔を防ぐためには、シミュレーションをしながらしっかりプランをつくり込むのが効果的な対策です。
実物を見ることができなくても、細かくシミュレーションをすればイメージのズレを防ぐことができます。
注文住宅のシミュレーション方法についてこちらのコラムで詳しく解説しています。
また、モデルハウス見学の際に情報を整理し、しっかりイメージを固めるのも後悔を防ぐコツの1つ。
ただ見学するだけではなく、あらかじめ聞くべきことを整理しておくことで、より多くの情報を得ることができイメージ違いを防ぐことができます。
こちらのコラムでモデルハウス見学のコツや準備すべきポイントをまとめています。
注文住宅の価格相場は?
実際に注文住宅を検討する際、どれくらいの費用がかかるのか、建売住宅や分譲住宅とどれくらいの価格差があるのかも気になるポイントです。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査から、建売住宅と土地付注文住宅の平均費用をピックアップして比較してみましょう。
延床面積/敷地面積 | 平均費用 | 自己資金(頭金) | |
---|---|---|---|
建売住宅 | 101.6㎡/139.8㎡ | 3,603万円 | 473万円 |
土地付注文住宅 | 111.2㎡/208.1㎡ | 4,903万円 | 294万円 |
平均費用を比較すると、建売住宅は3,603万円、土地付注文住宅は4,903万円です。
金額を単純に比較すると、建売住宅より土地付注文住宅の方が1,300万円高い結果となりました。
しかし、延床面積と敷地面積は土地付注文住宅の方が広いため、土地の条件や間取りにこだわった結果高くなっていることも考えられます。
また、土地付注文住宅の平均土地取得費用は1,497万円ですが、土地相場が低いエリアならさらに差額が小さくなる可能性もあります。
注文住宅の費用は建てるエリア、住宅会社、延床面積や仕様によって変動することも覚えておきましょう。
こちらのコラムで、注文住宅の相場についてさらに詳しく解説しています。
また、注文住宅を建てる際は、建物本体工事費以外に、付帯工事費・諸費用などの費用もかかります。
申請費用や税金など住宅ローンに含めることができず、現金が必要になる項目もあるため、内訳を把握しておくことが大切です。
注文住宅の初期費用の内訳については、こちらのコラムで解説しています。
1,000〜4,000万円でどんな注文住宅を建てられる?
ここでは、建物の本体価格1,000万円台~4,000万円台の4つの価格帯ごとに、どんな注文住宅を建てられるのか解説します。
価格帯ごとの注文住宅施工実例も関連コラムで確認できるようになっていますので、ぜひイメージづくりや予算計画にお役立てください。
本体価格1,000万円台の注文住宅の特徴
相場より安い建物本体価格1,000万円台の注文住宅は、コンパクトかつシンプルな仕様で費用を抑える必要があります。
1,000万円台だと豪華な建材やグレードの高い設備を導入するのは難しいですが、工夫次第でおしゃれかつ暮らしやすい注文住宅を建てるのも不可能ではありません。
1,000万円台だと坪単価が安いローコスト住宅も気になるところですが、価格だけを重視して性能や耐久性に妥協すると、実際に暮らし始めてから後悔するリスクもあるので要注意。
こちらのコラムで、1,000万円台の注文住宅の間取り実例や考え方のポイントをまとめています。
本体価格2,000万円台の注文住宅の特徴
2,000万円台の価格帯になると、延床面積や間取りの選択肢が少し広がり、ファミリー向けの注文住宅も検討しやすくなります。
ただし、2,000万円だと平均費用よりは低いため、要望に優先順位を付けたり、間取りのムダを無くしたりと、コストパフォーマンスを高める工夫も必要です。
本体価格2,000万円台なら、2階建てだけでなく平屋も検討しやすくなります。
こちらのコラムで、本体価格2,000万円台の2階建て・平屋注文住宅の実例を紹介しています。
本体価格3,000万円台の注文住宅の特徴
平均に近い本体価格3,000万円台の注文住宅は、さらに選択肢が広がり理想の住まいづくりをしやすくなる価格帯です。
ただし、3,000万円台前半の場合、間取りや要望によっては予算オーバーする可能性もあるため、コストパフォーマンスを高める工夫は欠かせません。
中庭やルーフバルコニーなど理想のライフスタイルを叶える間取りアイデアを検討しつつ、ムダを無くしたり優先順位が低い場所はコストを削ったりすることも大切です。
また、本体価格3,000万円台だと住宅ローンの借入金額も大きくなるため、無理のない返済プランを考えておきましょう。
こちらのコラムで、本体価格3,000万円の注文住宅実例や、間取り・資金計画の考え方について解説しています。
本体価格4,000万円台の注文住宅実例
平均より多めの予算4,000万円あれば、注文住宅の選択肢が広がり理想のマイホームをつくりやすくなります。
建物のみに4,000万円の予算をかけることができれば、広々としたLDK、趣味や仕事のための書斎、家事効率を高めるためのパントリーやランドリールームなどを取り入れて満足度の高い注文住宅を建てやすくなります。
また、本体価格4,000万円台だと、土地取得費用を含めて住宅ローンの借入金額が大きくなり、返済期間も長くなります。
性能や暮らしやすさにこだわりつつ、ムダを省いて予算内に納め、無理のない資金計画を立てることが大切です。
こちらのコラムで、4,000万円台の注文住宅実例や、住まいづくりの考え方についてご確認ください。
注文住宅とは夢のある住宅のこと!
今回は、注文住宅とはどんなものなのか、メリットやデメリット、費用相場について具体的に解説しました。
注文住宅は自身の好きな間取りやデザインを叶えることができ、建築工程をチェックできるなどさまざまなメリットがあります。
一方で、注文住宅は完成までの時間が長く、要望をたくさん盛り込むと予算オーバーするリスクがある点には注意が必要です。
注文住宅を検討する際は、メリット・デメリットを踏まえたうえで、住まいづくりのプロに相談して適切なアドバイスをもらいましょう。
クレバリーホームは、全国のモデルハウスで注文住宅づくりに関するご相談を受け付けています。
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