注文住宅にかかる初期費用|諸費用・付帯工事費など内訳をチェック
注文住宅を建てるときは、本体工事費以外に付帯工事費や諸費用などの初期費用がかかります。
住宅会社選びで参考にすることが多い坪単価には本体工事費しか含まれていないため、予算計画を立てるためにはほかの初期費用も把握する必要があります。
そこで今回は、注文住宅にかかる初期費用の内訳や相場を詳しく解説します。注文住宅の予算を考えるときに必要な基礎知識となりますので、ぜひ覚えておいてください。
目次
注文住宅にかかる初期費用の種類
まずは、注文住宅を建てるときにかかる初期費用の種類を把握しておきましょう。
費用の種類 | 概要 |
---|---|
本体工事費 | 建物本体の材料と工事費 |
付帯工事費 | 建物本体以外にかかる工事費 |
諸費用 | 工事以外にかかる費用 |
土地購入費用 | 土地の販売価格と購入の諸費用 |
ハウスメーカーや工務店の坪単価に含まれているのは本体工事費のみのケースが多いため、単純に坪数をかけた金額で注文住宅は建てられません。しかし、付帯工事費や諸費用は建物や土地によって金額が変動するため、予測が難しいです。
また、土地を購入して注文住宅を建てる場合も、仲介手数料や登記など初期費用がかかります。それぞれの費用の内訳や相場を把握しておけば、本体工事費から大まかな初期費用を予測しやすくなります。次の章から、初期費用の種類ごとに内訳と相場を詳しくチェックしていきましょう。
本体工事費の内訳と相場
注文住宅の本体工事費は、建物をつくるための材料や工事費などが含まれます。内訳と相場をそれぞれチェックしてみましょう。
本体工事費の内訳
注文住宅の本体工事費は、初期費用の中でも割合が大きい部分なので、内訳もしっかり把握しておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
仮設工事 | ・注文住宅を建てるための足場、仮囲いの設置
・電源、仮設トイレなどの確保 |
基礎工事 | ・建物をのせる基礎コンクリートをつくる |
木工事 | ・土台や柱などの構造躯体、屋根や壁の下地を造作する |
内装工事 | ・床、壁、内装や建具など室内の仕上げを行う |
外装工事 | ・外壁、屋根、雨どい、屋上など、外装の仕上げを行う |
設備工事 | ・キッチン、トイレなどの水回り、エアコンやコンセントなどの電気設備を設置する |
タイル・左官工事 | 玄関や洗面所などのタイル、モルタルなどの仕上げ |
設計料 | ・注文住宅の間取りやデザインを設計した建築士の労務費 |
上記のように、注文住宅を建てるまでにはさまざまな工事が必要になります。見積もりをチェックするときの参考にしてみてください。
本体工事費の相場
注文住宅の本体工事費は、費用全体の70%程度が相場と言われています。
例えば、総額費用3,000万円の注文住宅なら、「3000×0.7=2100」で本体工事費は2,100万円が相場になるということです。逆に、本体工事費や坪単価から、大まかな総額費用を予測することもできます。
仮に坪単価70万円のハウスメーカーで30坪の注文住宅を建てる場合、「70×30=2100」で本体工事費は2,100万円。「2,100÷0.7=3,000」で総額費用の目安は3,000万円という計算です。
本体工事費の割合は状況によって変動するためあくまで目安ですが、施工実例やモデルハウス見学の際の参考になるでしょう。
こちらのコラムでは、本体工事費の価格帯別に注文住宅の施工実例を紹介していますので、参考にしてみてください。
付帯工事費の内訳と相場
付帯工事費は、建物本体以外にかかる費用が含まれます。具体的な内訳と相場をチェックしていきましょう。
付帯工事費の内訳
付帯工事費は土地の状況や建物の仕様によって変わります。一般的な内訳は次のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
屋外給排水工事 | ・道路から建物まで給排水管を引き込み接続する |
屋外電気工事 | ・道路から建物まで電気配線を引き込み接続する |
屋外ガス工事 | ・道路から建物までガス管を引き込み接続する |
地盤改良工事 | ・軟弱地盤の場合、基礎をつくる前に改良する |
外構・造園工事 | ・駐車場や門扉、フェンスや植栽などをつくる |
古屋の解体工事 | ・古家付き土地に注文住宅を建てる場合の解体工事と廃材処分費 |
給排水・電気・ガスなどライフラインの引き込みと接続は、必ずかかる初期費用です。地盤改良や古屋の解体工事は、土地の状況によって発生する可能性があります。
外構や造園工事は敷地の広さや設計によって費用が大きく変わるため、建物と一緒に予算に組み込んでおきましょう。
付帯工事費の相場
付帯工事費は、注文住宅の総額費用の20%前後が相場です。仮に総額3,000万円の場合「3000×0.2=600」で、600万円が相場になるということです。
ただし、前述したように、付帯工事費は注文住宅を建てる土地や建物の仕様で大きく変動します。
大規模な地盤改良や古屋の解体工事が必要な場合、付帯工事費の割合は高くなるでしょう。逆に、特別な工事が必要ない土地を選べば、付帯工事費を抑えられる可能性があります。
付帯工事費についてはこちらのコラムでも詳しく解説しています。
諸費用の内訳と相場
諸費用とは、注文住宅の工事以外にかかる費用のことです。具体的な内訳と費用相場を確認しましょう。
諸費用の内訳
諸費用にはさまざまな項目が含まれます。
項目 | 内容 |
---|---|
測量・地盤調査費用 | ・土地の境界や面積、地盤状況などを調査するための費用 |
住宅ローンの各種手数料 | ・金融機関に払う手数料
・団体信用生命保険、火災保険など |
司法書士報酬 | ・登記や書類作成にかかる費用 |
地鎮祭・上棟式費用 | ・地鎮祭のために神職に払う玉串料
・上棟式の祝儀や食事代など |
建築確認申請費用 | ・書類審査、中間検査、完成検査などの手続きにかかる費用 |
水道加入費用 | ・水道を利用するためのメーター設置や手続の費用 |
近隣あいさつ費用 | ・工事前、入居時の近隣あいさつの粗品購入費用 |
家具・家電・インテリア購入費用 | ・新しい家で必要になる物の購入費用 |
引っ越し費用 | ・新居へ荷物を運ぶための費用 |
諸費用には、注文住宅で新生活をスタートするために必要な項目が含まれます。近隣あいさつで持参する粗品や、家具家電の購入費用など、見逃しやすい項目も多いので注意しましょう。
諸費用の相場
諸費用の相場は、注文住宅の総額費用の10%前後が相場です。家具家電やインテリアの購入費用など、諸費用の中には変動する項目も多いのでしっかり計画を立てましょう。
また、諸費用は住宅ローンに組み込めない金融機関もあり、現金が必要になる可能性もあります。内訳や金額を把握しておかないと慌てることになるので、こちらのコラムも参考にしてみてください。
土地取得費用の内訳と相場
土地を購入して注文住宅を建てる場合は、取得費用や登記などの諸費用が発生します。
土地取得費用の内訳
土地を購入する際は、物件の販売価格だけでなくさまざまな諸費用がかかります。必ずかかる費用と、土地の状況によってかかる可能性がある費用に分けてチェックしましょう。
※土地購入で必ずかかる費用
項目 | 内容 |
---|---|
土地の購入代金 | ・物件情報に記載されている販売価格 |
仲介手数料 | ・不動産会社に支払う報酬
・手数料の上限は「土地代金×3%+6万円」で計算するのが一般的 |
印紙税 | ・契約書に貼る収入印紙の購入費用
・契約金額によって変動する |
不動産取得税 | ・原則、購入する土地の固定資産税評価額の4%(軽減措置あり)
・所有権移転登記完了後6か月前後で支払う |
登録免許税 | ・土地の名義変更にかかる税金
・原則、固定資産税評価額の2%(軽減措置あり) |
司法書士報酬 | ・登記を代行してもらう際の報酬 |
固定資産税・都市計画税 | ・毎年1月1日時点の所有者にかかる税金
・購入時点で残りの日数で日割り計算して支払うのが一般的 |
上記のように、土地の購入代金以外にもさまざまな諸費用がかかります。購入する土地の金額によって諸費用が変動するため、どれくらいお金を用意すれば良いのか把握しておきましょう。
※場合によってかかる費用
項目 | 内容 |
---|---|
測量費用 | ・境界や敷地面積が分からない物件の測量にかかる費用
・売主、買主どちらが負担するか確認が必要。 |
農地転用費用 | ・田畑などの地目の土地に、注文住宅を建てられるようにする手続きの費用 |
古い土地で境界標が紛失してしまっている場合、境界を確定させるための測量費用がかかるケースもあります。売主が費用を負担することもありますが、購入前に必ず確認しましょう。
また、田畑などの農地はそのままでは注文住宅を建てられず、農地転用の手続きと費用がかかります。
土地取得費用の相場
土地取得費用は、エリアによって相場が大きく異なります。
住宅ローンのフラット35を利用して土地付注文住宅を建てた方のデータから、エリアごとの敷地面積・土地取得費用の平均をピックアップしてみましょう。
地域 | 敷地面積(㎡) | 土地取得費(万円) |
---|---|---|
全国 | 237 | 1,499 |
北海道 | 280.3 | 1,002 |
東北 | 296.8 | 885 |
北関東信越 | 340 | 802 |
南関東 | 207.1 | 1,977 |
東海 | 252.2 | 1,340 |
北陸 | 250.5 | 834 |
近畿 | 181.3 | 1,760 |
中国 | 250.8 | 1,025 |
四国 | 244.9 | 908 |
北部九州 | 272.2 | 1,126 |
南九州 | 307 | 879 |
出典:住宅金融支援機構 2022年度フラット35利用者調査
平均価格から推測すると、土地取得費用の相場は800~2,000万円前後になりそうです。東京・大阪など地価が高い都道府県がある地域は相場が高く、敷地面積も小さい傾向があります。ただし、人気の高いエリアを外せば、相場よりリーズナブルな土地を見つけることも可能です。
地域ごとの相場を把握しておけば、土地探しの際に適正価格なのか判断しやすくなります。
まとめ
注文住宅は本体工事費以外にさまざまな初期費用がかかります。付帯工事費や諸費用の内訳と相場を把握して、精度の高い資金計画を立てるのが予算オーバーを防ぐコツです。
また、初期費用について不安を感じる方は、早めに工務店やハウスメーカーに相談するのもおすすめです。疑問や不安を早めに解消することが、スムーズかつ満足度の高い注文住宅づくりにつながります。
クレバリーホームの全国のモデルハウスでも、住宅ローンや資金計画のご相談を受け付けています。ぜひお近くのモデルハウスにご来場ください。