注文住宅の諸費用はいくら?内訳や相場、シミュレーション例を紹介

注文住宅の諸費用はいくら?内訳や相場を詳しく解説

注文住宅を建てる際は、土地取得費や本体工事費、付帯工事費以外に諸費用がかかります。

諸費用は項目が多く、状況によって変動するため、いくらかかるのか分かりにくいことが多いです。

そこでこの記事では、注文住宅にかかる諸費用の内訳や目安など、よく疑問に挙がることが多いポイントについて解説します。

正確な資金計画で理想の注文住宅を建てるために、ぜひ参考にしてください。

注文住宅の諸費用とは?

注文住宅の諸費用を計算する夫婦

注文住宅にかかる諸費用とは、建物本体価格や付帯工事費、土地の購入代金以外にかかる費用や手数料のことです。

諸費用は注文住宅の本体価格や土地の販売価格には表示されないため、どのような項目があり、いくらぐらいかかるのか把握することが大切です。

例えば、住宅ローンを組む際にかかる手数料や、土地・建物を登記するための司法書士報酬など、いろいろな諸費用があります。

新居に入居するための引っ越し費用も、諸費用の一種です。

こちらのコラムでは、諸費用を含めた注文住宅の初期費用の内訳や相場について詳しく解説しています。

 

注文住宅の諸費用の目安

注文住宅の諸費用の目安

注文住宅にかかる諸費用は、状況によって変動しますが、建物の本体価格と土地取得費用の10%前後が目安と言われています。

令和5年度住宅市場動向調査によると、注文住宅の建築費用・土地取得費用の合計の全国平均は5,963万円でした。

前述した一般的な諸費用の相場で考えると、5,963万円×10%で596.3万円が平均的な金額となります。

注文住宅の資金計画を立てるときは、諸費用がいくらぐらいかかるのか考え、本体価格や付帯工事費、土地取得費を調整することが大切です。

次の章から、具体的にどんな諸費用が発生するのか内訳をチェックしていきましょう。

注文住宅の諸費用の内訳と支払いのタイミング

注文住宅の諸費用を4つのジャンルに分け、内訳と支払いのタイミングを解説します。

土地購入にかかる諸費用

注文住宅の土地にかかる諸費用

注文住宅を建てるために土地を購入する際は、販売価格以外に次のような諸費用がかかります。

 

諸費用の項目 内容 支払いタイミング
仲介手数料 ・土地を購入する際不動産会社に支払う費用
・土地購入代金が400万円を超える場合「購入代金×3%+6万円+消費税」が上限
売買契約締結時、引き渡し時
不動産取得税 ・土地や家屋を取得した際に必ずかかる税金
・原則固定資産税評価額の4%(令和9年3月31日までは3%に軽減措置あり)
・土地は不動産取得税の課税標準から1/2控除(令和9年3月31日まで)
・住宅用の土地は一定の減税額あり
所有権移転登記後4~6か月前後(自治体によって異なる)
土地の登記費用(登録免許税) ・土地の所有権を登記するためにかかる税金
・売買による所有権の移転の場合「不動産評価額の2%」
・令和8年3月31日までは「不動産評価額の1.5%」の軽減税率が適用
登記手続きが完了する前
固定資産税・都市計画税 ・1月1日時点の土地の所有者に対して毎年かかる税金
・固定資産税の税額は「固定資産税評価額×1.4%」(都市計画税は自治体によって異なる)
・所有権移転日を基準に日割り計算して買主の負担分を支払うことが多い。
売買契約締結時
司法書士報酬(所有権移転登記) ・登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用
・相場は2~11万円
日本司法書士会連合会アンケート結果を参照
登記手続きの前、または完了時(依頼先によって異なる)
古家の解体費用 ・古い家屋を解体するための作業費や廃材処分費
・相場は100~300万円前後
※延床面積や状況によって変動
着手前・完了時(依頼先によって異なる)

 

税金や登記費用などは法律によって金額が決められており、土地の購入費用や評価額によって金額が変動します。

不動産会社に支払う仲介手数料は法律で上限が決まっていますが、土地の購入先によって金額が変わるので、事前に確認しておきましょう。

司法書士報酬も依頼先や土地の状況によって金額が変わります。

古家付き土地を購入して注文住宅を建てる場合は、解体費用や廃材処分費も発生しますので、購入費用と別に予算を確保しておきましょう。

支払いタイミングは諸費用の項目や依頼先によって変わるため、いつまでにお金を用意しておけば良いのか確認しておくことも大切です。

 

建物にかかる諸費用

注文住宅の建築にかかる諸費用

注文住宅の建築では、建物の材料費や工事費以外に次のような諸費用がかかります。

 

諸費用の項目 内容 支払いタイミング
印紙税 ・工事請負契約書を交わす際に収入印紙を購入して納める税金
・工事金額1,000万円~5,000万円の印紙税は1万円
契約締結時
不動産取得税 ・土地や家屋を取得した際に必ずかかる税金
・原則固定資産税評価額の4%(令和9年3月31日までは3%に軽減措置あり)
・建物は不動産取得税の課税標準から1,200万円控除(令和9年3月31日まで)
所有権移転登記後4~6か月前後(自治体によって異なる)
水道加入費用 ・新たに水道を使うため市町村に支払う費用
・相場は10~20万円前後
※自治体や水道管の径によって変動
自治体や住宅会社によって異なる
建物の登記費用 ・新たに建築した建物の所有権を登記するための費用
・不動産の評価額の0.4%
・令和9年3月31日までは「不動産評価額の0.15%」の軽減税率が適用
登記手続きの前、または完了時(依頼先によって異なる)
司法書士報酬(建物の所有権保存登記) ・登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用
・相場は1~5万円
日本司法書士会連合会アンケート結果を参照
登記手続きの前、または完了時(依頼先によって異なる)
地鎮祭・上棟式費用 ・着工時に神主を呼び、工事の安全を祈願するための費用
・相場は5~10万円前後
※地域や依頼する神社によって変動
依頼時・地鎮祭当日(依頼先によって異なる)

 

建物にかかる諸費用は、設計料や確認申請費用など、地域や依頼先、注文住宅の仕様によって変動する項目が多いです。

水道加入費用や地鎮祭費用など、ハウスメーカーや工務店以外に依頼する項目もあるので、早めに費用を確認しておくとスムーズでしょう。

支払いのタイミングもバラバラなので、いつまでに現金が必要なのか確認してください。

住宅ローンにかかる諸費用

住宅ローンにかかる諸費用

住宅ローンを利用する際は、金利や手数料以外にさまざまな諸費用がかかります。

 

諸費用の項目 内容 支払いタイミング
融資手数料 ・住宅ローンを契約する際にかかる手数料
・定額型、定率型など金融機関によって計算方法や相場が異なる
融資の実行時
抵当権設定登記費用(登録免許税) ・注文住宅に抵当権を設定するための手続きに必要となる費用
・住宅ローンの借入額✕0.4%
登記手続きの前、または完了時(依頼先によって異なる)
司法書士報酬(抵当権設定登記) ・登記手続きを司法書士に依頼する場合の費用
・相場は2~7万円
日本司法書士会連合会アンケート結果を参照
登記手続きの前、または完了時(依頼先によって異なる)
住宅ローン保証料 ・万が一住宅ローンを返済できなくなった際、保証会社が代位弁済する契約を結ぶための費用
・前払い型、金利上乗せ型など金融機関によって計算方法や相場が異なる
前払い型は住宅ローン契約時、金利上乗せ型は毎月の返済時
団体信用生命保険料 ・借入人が死亡、または高度障害などになった際、残債を保険会社に支払ってもらうための契約費用
・特約により保険料が変動する
住宅ローンの金利に上乗せされるのが一般的
火災保険・地震保険料 ・火災や地震などの被害を受けた際、損害を補償するための保険料
・住宅ローンを組む場合、火災保険への加入が必須になっていることが多い
・相場は30~40万円前後
※建物の大きさや工事請負金額、保険の内容によって変動
補償開始日から1ヶ月以内

 

住宅ローンの借り入れ条件によって発生する諸費用もあるので、金融機関を選ぶ際にチェックしておきましょう。

注文住宅の住宅ローンについては、こちらのコラムも参考にしてください。

 

入居にかかる諸費用

注文住宅の入居にかかる諸費用

注文住宅が完成して引き渡した後、入居して生活を始めるまでにかかる諸費用もあります。

 

諸費用の項目 内容 支払いタイミング
引っ越し費用 ・家具や家電などの搬入出を専門業者に依頼するための費用
・自分で引っ越しをする場合でも、レンタカーの手配や養生材の購入費用などがかかる
引っ越し作業当日が一般的(依頼先によって異なる)
仮住まい費用 ・注文住宅を建て替えする場合に、仮住まいを借りるための初期費用や家賃 賃貸契約時、毎月の支払日
家具・家電購入費用 ・家具や家電を新しく購入したり買い替えたりするための費用 購入日

 

入居までにかかる主な諸費用は、上記の様な物が挙げられます。

引っ越しや仮住まいは、依頼する業者や住環境によって費用が大きく変動するため、予算内でバランスを取りましょう。

仮住まい費用は敷金・礼金などまとまった金額になることもあるので、支払いタイミングの確認も重要です。

家具や家電の購入費用も、丸ごと買い替える場合も大きな金額になるため、事前に把握しておきましょう。

注文住宅の諸費用シミュレーション例

注文住宅の諸費用をシミュレーションする男性

実際に注文住宅を建てる際にかかる諸費用を、土地・建物別にシミュレーションしてみましょう。

土地の諸費用シミュレーション

土地購入にかかる諸費用は、契約時に必ずかかる項目をピックアップし、次の条件で試算しています。

 

  • 取得費用:1,000万円
  • 課税評価額:700万円
  • 土地の面積200㎡
  • 建物の延床面積100㎡
  • 2024年12月時点の軽減税率を適用

 

項目 計算式 金額
仲介手数料(上限) (1,000万円×3%+6万円)+消費税 396,000円
不動産取得税 700万円×1/2×3%=10.5万円
※減税額21万円(課税評価額・土地と建物の延床面積から算出)
0円
登録免許税 700万円×1.5% 105,000円
司法書士報酬 30,000円
合計 531,000円

 

取得費用1,000万円、課税評価額700万円の土地で諸費用をシミュレーションすると、531,000円とそれなりの金額になりますね。

仲介手数料や税金は土地の価格によって変動するため、取得費用が高いと諸費用の負担も大きくなります。

また、今回のシミュレーションでは不動産取得税は税額より減税額が大きいため0円ですが、土地の評価額や面積などで変動します。

建物の諸費用シミュレーション

  • 建築費用:3,000万円
  • 課税評価額:2,000万円
  • 2024年12月時点の軽減税率を適用

 

項目 計算式 金額
印紙税 10,000円
不動産取得税 (2,000万円-1,200万円)×3% 240,000円
水道加入費用 100,000円
建物の登記費用 2,000万円×0.15% 30,000円
司法書士報酬 30,000円
地鎮祭・上棟式費用 50,000円
合計 460,000円

 

建築費用3,000万円、課税評価額2,000万円でシミュレーションすると、諸費用は46万円になりました。

水道加入費用や司法書士報酬など、依頼先で変動する費用もあるため事前に金額を確認しましょう。

 

諸費用を抑える方法

注文住宅の登記手続きのイメージ

ここまでご紹介してきたように、注文住宅には一定の諸費用が掛かりますが、次のような工夫で金額を抑える方法もあります。

依頼先を選定する

諸費用の項目によっては、依頼先の選定で費用を抑えられるケースもあります。

例えば、住宅ローンの事務手数料は金融機関によって異なります。

事務手数料が無料、または安い金融機関を選べば、諸費用を抑えることが可能です。

また、司法書士の登記費用や古家の解体費用なども、依頼先によって金額が違います。

諸費用の項目を1つずつチェックして、抑えられる部分がないか考えてみましょう。

保険内容を見直す

住宅ローンを組む時に加入することが多い、団体信用生命保険や火災保険、地震保険などの内容を見直すのも、諸費用を抑える方法の1つです。

例えば、団体信用生命保険は、がん・脳卒中・心筋梗塞の三大疾病が保証対象になる特約がありますが、ご自身で加入しているほかの保険でカバーできるなら外すのも1つの考え方です。

火災保険や地震保険も、不要な特約を外すことで、保険料を下げられる可能性があります。

家具や家電を工事費用に含める

家具や家電などを注文住宅の工事費用に含めることで、諸費用の項目を減らす方法もあります。

例えば、造り付けのダイニングテーブルなら、材料費や工事費を注文住宅の建築費用に組み込むことができます。

また、エアコンや暖房器具も、組み込み型にして注文住宅の見積もりに含めれば、後で購入する必要はありません。

総額は同じでも、諸費用を減らすことで現金の持ち出しを抑えることができ、住宅ローンに組み込めるのは大きなメリットです。

 

諸費用は住宅ローンに組み込める?

注文住宅の諸費用と住宅ローンのイメージ

注文住宅の諸費用はある程度の金額になりますので、住宅ローンに組み込めないか検討する方も多いです。

諸費用を現金で支払うのではなくローンに組み込む方法は、次の2パータンあります。

 

※諸費用をローンに組み込む方法

  • 諸費用も対象になる住宅ローンを選ぶ
  • 諸費用ローンを利用する

 

住宅ローンは原則的に「家の購入のための費用」が対象ですが、金融機関によっては諸費用を含めることができるケースもあります。

金融機関が限られるのはデメリットですが、現金の持ち出しを減らしたいなら検討してみましょう。

住宅ローンに諸費用を組み込むのが難しい場合は、諸費用専用ローンやフリーローンなどを利用する方法もあります。

ただし、住宅ローンより金利が高く、返済が2重になるため、無理のない資金計画を建てることが大切です。

注文住宅の諸費用に関する疑問

注文住宅の諸費用を計算する営業マン

注文住宅を建てる際、諸費用に関してよくある疑問をまとめました。

諸費用が払えないときはどうする?

諸費用は合計すると百万円単位になるため、万が一払えないときのことが心配になる方も多いようです。

前述したように、金融機関によっては諸費用の一部を住宅ローンに組み込めるケースもあるため、現金を残しておきたいときは活用するのも1つの手です。

登記費用や仲介手数料、引っ越し費用などを組み込める住宅ローンなら、諸費用の負担を抑えることができます。

諸費用以外に現金が必要な項目はある?

今回ご紹介したのは一般的な注文住宅づくりにかかる諸費用であり、状況によってほかにも現金が必要になるケースは考えられます。

例えば、モデルハウス見学や打ち合わせのための移動にかかった交通費なども、注文住宅の諸費用の一部と言えるでしょう。

注文住宅づくり全体の流れを知り、どんな費用がかかるのか正確に把握しておくことが大切です。

こちらのコラムで、注文住宅づくりに必要な現金の内訳や相場を解説しています。

 

まとめ

注文住宅づくりでは、本体工事費の10%前後の諸費用が発生することが多いです。

住宅ローンに組み込めない費用もあるので、事前にどんなお金がかかるのか把握してしっかり準備しましょう。

注文住宅を建てる地域や土地・建物の状況によっても諸費用は変動するため、早めにプロに相談してアドバイスを受けることも大切です。

クレバリーホームは全国のモデルハウスで、住まいづくりに関するご相談を受け付けています。

間取りやデザインのことはもちろん、手続きや費用のこともお気軽にご相談ください。

▼クレバリーホームの資料請求

▼クレバリーホームのモデルハウス一覧

この記事の関連記事を読む