注文住宅は頭金なしでも建てられる?フルローンのメリット・デメリットを解説
注文住宅を建てたいけれど資金に余裕がなく、頭金なしでフルローンを組めるのか気になる方が多いようです。
結論としては、世帯年収が十分あれば頭金なしのフルローンで注文住宅を建てられる可能性はありますが、支払いが厳しくなるなどのリスクもあります。
頭金を貯めてから注文住宅を建てる場合、頭金なしでフルローンを組み早めに建てる場合、どちらにもメリット・デメリットがあるため、ご自身にどちらが合うのかしっかり考えることが大切です。
この記事では、注文住宅を頭金なしでも建てられるのか、フルローンを組む場合のメリット・デメリットを詳しく解説します。
デメリットを踏まえた上で、頭金なしでフルローンを組む場合に後悔を防ぐポイントも紹介しますので、ぜひ注文住宅の資金計画にお役立てください。
※注文住宅建築では住宅ローンに含められない費用もあるため、貯蓄ゼロで建てることはおすすめできません。注文住宅建築にて現金で必要となる費用と生活費等を考慮したうえで、本記事をご確認ください。
目次
注文住宅を頭金なしで建てた人の割合は?
まずは、実際に頭金なしで注文住宅を建てている人がどれくらい居るのか、割合をチェックしてみましょう。
フラット35を利用して注文住宅を建てた方のデータから、頭金なしでフルローンを組んだ方の割合を計算してみます。
総件数 | 頭金なしの件数 | 割合 | |
---|---|---|---|
注文住宅 | 4,886 | 546 | 11.17% |
土地付注文住宅 | 9,416 | 1,602 | 17.01% |
注文住宅の建物部分のみ、頭金なしで住宅ローンを組んだ方の割合は11.17%でした。
また、土地取得費用を含めた土地付注文住宅の場合、頭金なしで住宅ローンを組んだ方は17.01%です。
データを見ると頭金なしのフルローンで注文住宅を建てた方の割合は1割以上あり、不可能ではないことが分かります。
ただし、頭金なしで住宅ローンを組むことにはメリット・デメリット両面があり、借入金額や今後のライフプランなどさまざまな要素を踏まえて総合的に考える必要があります。
次の章から、頭金なしで注文住宅の住宅ローンを組むメリット・デメリット両面を掘り下げていきましょう。
注文住宅の住宅ローンを頭金なしで組むメリット
頭金なしで住宅ローンを組んで注文住宅を建てることで、次のようにさまざまなメリットがあります。
ただし、メリットだけを見て頭金なしのフルローンを組むと後悔するリスクもあるため、必ず次の章のデメリットと併せて検討してください。
現金を手元に残せる
頭金なしで注文住宅を建てる場合、現金を手元に多く残せるため、新生活のスタートに必要な費用や、突発的な出費に対応できるのは大きなメリットです。
頭金を入れると借入金額や返済額が減り、住宅ローンの審査も通りやすくなる半面、現金を使いすぎてしまうとその後の生活で困る可能性も考えられます。
特に、注文住宅は土地取得費用や建築費用だけでなく、実際に暮らし始めるまでに引っ越しや家具購入などさまざまなお金が必要になります。
また、病気やけがの治療費、お子さまの学費など大きな出費が控えている場合、頭金を入れずに現金を手元に残しておいた方が良いケースも。
頭金を貯める時間がかからない
頭金を貯める時間を省き、理想の注文住宅で新生活を早くスタートできるのはメリットの1つです。
頭金の平均金額は後半で詳しく解説しますが、1から貯める場合は数年間かかる可能性が高いです。
頭金なしでフルローンを組める場合は、すぐに注文住宅の検討を始められるため完成時期も早くなります。
転勤やお子さまの進学などに合わせて注文住宅づくりを検討する場合、早めに入居できるのは大きなメリットです。
住宅ローン控除の効果が大きい
頭金なしでフルローンを組むと借入金額が大きくなるため、住宅ローン控除の恩恵を受けやすくなるのもうれしいポイントです。
住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%を所得税(一部、翌年の住民税)から最大13年間控除する制度です。
※年度末の住宅ローン残高の違いによる控除額の差
- 3,000万円 × 0.7% = 21万円
- 2,000万円 × 0.7% = 14万円
借入金額によって上記のように控除額の差が出ます。
頭金なしで借入金額が多い方が控除額が大きくなり、より多くの節税効果を得ることができます。
注文住宅を頭金なしで建てるデメリット
頭金なしで住宅ローンを組んで注文住宅を建てる場合、次のようなデメリットがあるため注意が必要です。
対策は次の章で解説しますので、ここではまずデメリットやリスクを把握しましょう。
借入条件やローン審査が厳しくなる
頭金なしだと住宅ローンの審査が厳しくなり、金利や返済期間などの条件が悪くなる可能性があります。
借入金額が大きいと返済負担率が高くなり、年収や勤続年数などの返済能力によっては希望の金額が借りられなかったり、審査が通らなかったりするケースも。
また、最近はフルローンでも同じで借りられる銀行もありますが、多くの銀行は、頭金なしだと金利が高くなるため、支払利息が増えてしまう可能性も考えられます。
月々のローン返済額の負担が大きい
住宅ローンの審査に通ったとしても、頭金なしだと月々の返済額の負担が増加するのも注意すべきデメリットです。
ローン返済の負担が大きいと、せっかく注文住宅を建てても理想の生活を送ることができず後悔するリスクがあります。
また、ギリギリの返済計画だと突発的な出費が発生した際、返済が滞り最悪マイホームを失ってしまうリスクも。
金利変動の影響が大きい
頭金なしで変動金利の住宅ローンを組む場合、金利変動の影響を受けやすいのもデメリットです。
変動金利は金利の変動によって返済額が変動するため、借入金額が多く返済期間が長いと、金利が上がった際に負担が大きくなります。
金利が下がればメリットにもなり得ますが、金利が上がった場合は大きなデメリットになる可能性もあるのです。
頭金なしフルローンの後悔を防ぐポイント
前述したように、頭金なしのフルローンにはデメリットがあるため基本的にはおすすめできません。
しかし、メリットが大きくそれでも頭金なしで住宅ローンを組む場合は、次のポイントについてしっかり検討し後悔を防ぎましょう。
無理のない返済計画を立てる
住宅ローンを組む際は返済プランが重要ですが、頭金なしの場合は特に慎重に無理のない計画を立てることが重要です。
毎月の返済額とこれからの出費などを踏まえて、突発的な出費が発生した際も対応できる返済計画を立てましょう。
特に、年収に対する住宅ローンの返済額の割合である「返済負担率」を計算し、無理のない範囲と言われている20~25%に抑えるのもポイントです。
こちらのコラムで、返済負担率について詳しく解説しています。
市場動向を踏まえて金利タイプを選ぶ
前述したように頭金なしのフルローンは金利変動の影響が大きくなるため、支払利息や市場動向を踏まえて金利タイプを選びましょう。
支払額が変わらない固定金利、金利が低い変動金利どちらが向いているかはケースバイケースです。
金利タイプそれぞれのメリット・デメリットを踏まえて、ご自身に合う選択をすることが大切です。
こちらのコラムで金利タイプを含めた住宅ローンの基礎知識を解説していますので、参考にしてみてください。
諸費用や必要な現金を把握
頭金なしのフルローンを組んでも、注文住宅を建てるためにはある程度の現金が必要になるのも要注意ポイントです。
手付金や各種手数料など住宅ローンに含められない費用もあり、把握していないといきなり現金が必要になり慌ててしまう可能性があります。
こちらのコラムで、注文住宅づくりで必要になる現金について詳しく解説しています。
繰り上げ返済を利用する
頭金なしで住宅ローンを組む場合は、繰り上げ返済を含めて計画を立てるのも1つの考え方です。
例えば、子育てが落ち着いて夫婦2人で働けるようになれば、世帯年収が増えるため繰り上げ返済して負担を軽減できる可能性もあります。
繰り上げ返済無しでも無理なく支払える住宅ローン計画を立てることが前提ですが、ライフスタイルに合わせて有効活用しましょう。
注文住宅の頭金の平均は?
前述したように頭金なしでも、住宅ローンを組んで注文住宅を建てることは可能です。
しかし、ほかの方がどれくらい頭金を用意しているのかも気になるところですよね。
データ | 建築費用 | 頭金 |
---|---|---|
フラット35利用者調査 | 3,861万円 | 699万円 |
住宅市場動向調査 | 4,034万円 | 1,070万円 |
出典:2023年度フラット35利用者調査 令和5年度住宅市場動向調査
住宅ローンのフラット35を利用した方の調査、国土交通省の住宅市場動向調査のデータを見ると、頭金の平均は699~1,070万円となっています。
注文住宅の建築費用に対して2割前後の頭金を用意している方が多いようです。
頭金についての考え方は人それぞれですが、前述したメリット・デメリットを踏まえて、ご自身の状況に合う金額を考えることが大切です。
こちらのコラムで、注文住宅の頭金についてさらに詳しく解説しています。
まとめ
注文住宅は頭金なしでも建てることができ、メリット・デメリット両面があります。
すぐに注文住宅の検討を始めて早めに入居できるのは大きなメリットですが、頭金なしだと住宅ローンの返済が厳しくなるリスクも考えられます。
ある程度の世帯年収があれば頭金なしで注文住宅を建てることは可能ですが、ギリギリの資金計画の場合はあまりおすすめできません。
頭金や住宅ローン計画については、年収や将来の出費なども踏まえて無理のない資金計画を建てつつ、住まいづくりのプロに相談してみることも大切です。
クレバリーホームでは、全国のモデルハウスで、注文住宅に関するご相談を受け付けています。
資金計画や住宅ローンのことにも住まいづくりのプロがお答えしますので、ぜひお近くのモデルハウスにご来場ください。