省エネ住宅の基準や種類をわかりやすく解説|お得な補助金制度も

マイホームの情報収集をしていると、省エネ住宅について見かけることが多いと思います。住まいの省エネ性は大切な性能の一つであり、これからのスタンダードになるため必ず押さえておくべき情報です。しかし省エネ住宅の評価基準や種類は複雑で、どのように比較検討したらよいのか分かりにくいですよね。

今回は省エネ住宅の基本から具体的な基準まで、必要な情報を分かりやすくまとめてお届けします。省エネ住宅を建てるときに活用できるお得な補助金制度も紹介します。

そもそも省エネ住宅とはどんな家?

省エネ住宅 のイメージ

省エネ住宅と聞くと大まかなイメージは浮かびますが、具体的にどんな家なのか説明するのは難しいですよね。

経済産業省によると、省エネ住宅は断熱・気密・日射遮蔽の3つの対策を施した住まいのことです。

参照元:経済産業省 省エネ住宅とは

気密性と断熱性を高めることで、冬の暖かさを逃がさず、夏の暑さを侵入させない家になります。また日射遮蔽によって、夏の日差しによる室内の温度上昇を防ぐことができます。

3つの対策で住まい全体の冷暖房効率が高くなり、少ない消費電力で適温をキープしやすい省エネ住宅になるということです。

さらに現代では、効率の良い設備でエネルギー消費量を減らしたり、太陽光発電システムで電気を創り出したりする技術で、さらに省エネ性が高められています。

省エネ住宅の基準

省エネ住宅の断熱性能

国が定める省エネ住宅の基準は、断熱等性能等級・一次エネルギー消費量性能の2種類です。具体的な数値や計算方法まで解説すると分かりにくくなってしまうため、ここでは基本的な内容について見ていきましょう。

断熱等性能等級

断熱等性能等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で定められた省エネ性能の基準です。1~7までの等級があり、数字が大きいほど省エネ性能が高い住宅になります。

等級7 熱損失等のより著しい削減のための対策が講じられている
等級6 熱損失等の著しい削減のための対策が講じられている
等級5 熱損失等のより大きな削減のための対策が講じられている
等級4 熱損失等の大きな削減のための対策(建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令に定める建築物エネルギー消費性能基準に相当する程度)が講じられている
等級3 熱損失等の一定程度の削減のための対策が講じられている
等級2 熱損失の小さな削減のための対策が講じられている
等級1 その他

出典:国土交通省 住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設

2022年までは等級4が上限でしたが、後述するZEH・HEAT20などさらに性能が高い省エネ住宅の登場によって、等級5~7が新設されました。

一次エネルギー消費量等級

一次エネルギー消費量等級は2013年につくられた基準で、住宅が一年間に消費するエネルギー量を表します。

具体的には「設計一次エネルギー消費量」÷「基準一次エネルギー消費量」で求められるBEIという数値で等級が決まります。

等級 BEI
等級6 0.8以下
等級5 0.9以下
等級4 1.0以下
等級3 1.1以下

出典:国土交通省 住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設

BEIが小さいほどエネルギー消費量が少なく、等級は高くなります。国が定める省エネ住宅の基準では、一次エネルギー消費量等級4以上の適合が求められます。

省エネ基準適合が義務化される?

省エネ基準義務化

出典:国土交通省

2022年6月に建築物省エネ法が改正され、2025年から省エネ基準適合が義務化される予定です。

2023年現在は一般住宅の省エネ基準への適合は「努力義務」になっていますが、2025年4月(予定)以降はすべての住宅が省エネ基準を満たす必要があります。具体的には、断熱等性能等級・一次エネルギー消費量等級ともに等級4以下の住宅は建てられなくなります。

これからは省エネ住宅がスタンダードの時代となり、基準を満たさない住宅は時代遅れとなってしまう可能性があるということです。省エネ基準適合が義務化される2025年までにマイホームを建てる方も、省エネ性能の高いマイホームを検討するべきでしょう。

省エネ住宅の種類

省エネ住宅の種類

前述した国の省エネ基準以外にもさまざまな省エネ住宅の種類があります。

ZEH

ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略称で、消費エネルギーより創り出すエネルギーが同等以上の省エネ住宅の基準です。

断熱性能等級は等級5、一次エネルギー消費量は等級6が基準となります。2025年に義務化される国の省エネ基準より高い等級が求められますが、2030年にはZEH基準が義務化される予定です。

HEAT20

HEAT20は、一般社団法人「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」が定める省エネ住宅基準です。

HEAT20はG1・G2・G3の三段階の水準があり、日本を8つの地域に分けて性能基準を設定しています。省エネ住宅・ZEH住宅など国の基準を上回る設定なので、住宅性能にこだわりたい方におすすめです。

LCCM住宅

LCCM住宅は「ライフサイクルカーボンマイナス住宅」の略で、建築・解体まで含めたトータルサイクルでCO₂収支をマイナスにする省エネ住宅のことです。

住宅による環境負荷を軽減するため、省エネ住宅・ZEHのさらに先の目標として推進されています。

長期優良住宅

長期優良住宅は、長期間良好な状態で使用するため認定制度です。

断熱性能等等級は等級5、一次エネルギー消費量は等級6が基準となり、さらに劣化対策等級・耐震等級などの基準も定められています。省エネ性能に加えて、住まいの耐久性や耐震性にこだわりたい方におすすめです。

低炭素住宅

低炭素住宅は、二酸化炭素の排出量を抑えるための対策を講じた住宅のことです。

前述した国の省エネ基準に比べて一次エネルギー消費量を20%以上削減、かつ再生可能エネルギー設備を導入して一次エネルギー消費量を50%以上削減することが認定条件となっています。

省エネ住宅のメリット

省エネ住宅のメリット

光熱費が安い

断熱性・気密性が高い省エネ住宅は、冷暖房効率が良いため光熱費を安く抑えられるのがメリットです。毎月・年間の節約効果も大きいですが、長く暮らすほどさらにメリットも大きくなっていきます。

快適で健康な暮らし

省エネ住宅は外気の影響を受けにくいため、暑さ・寒さが少なく快適で健康的な暮らしを送れるのも魅力ポイントです。

お部屋ごとの温度差が少ないため、冬場の「ヒートショック」による健康被害などのリスクも軽減できます。

住宅の長寿命化

高気密・高断熱が基本の省エネ住宅は、結露が発生しにくく長寿命化につながるのもメリットです。

窓の結露や壁裏の内部結露が発生しにくいため、柱や土台の腐食といったトラブルリスクが少ないのです。

補助金や優遇制度の対象になる

詳しくは後半で紹介しますが、一定基準を満たした省エネ住宅は補助金や所得税控除といった優遇制度を活用できるのも特徴です。補助金額が大きい制度も多いため、建築費用を抑えて高性能なマイホームを手に入れることができます。

省エネ住宅にデメリットはある?

一般的な住宅より性能が高い省エネ住宅は、建築コストが高くなることがデメリットと言われることが多いです。しかし前述したように2025年からは省エネ住宅が義務化されるため、建築コストはデメリットとは言えません。今はまだ省エネ住宅の基準を満たさない家を建てることもできます。しかし前述した補助金や優遇制度を活用できませんし、光熱費が高くなるので、長い目で見るとかえって高くつく可能性もあります。

省エネ住宅の表面的な金額差だけ見てデメリットと判断すると、将来大きな後悔につながる恐れがあるので注意しましょう。

省エネ住宅の補助金&優遇制度

省エネ住宅の補助金

2023年4月現在、省エネ住宅を推進するためにさまざまな補助金や優遇制度が用意されています。

  • こどもエコすまい支援事業
  • ZEH支援事業
  • 地域型住宅グリーン化事業

 

ZEH・長期優良住宅・低炭素住宅などの基準を満たした住宅は、上記の補助金制度を活用できます。補助金額が100万円以上の制度もあるので、積極的に活用しましょう。具体的な補助金額や対象要件などはこちらのコラムをご覧下さい。

 

また住宅ローン減税も、長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH・省エネ住宅などの基準を満たすと、控除額の上限や控除期間が拡大される優遇措置があります。

 

住宅金融支援機構のフラット35は、長期優良住宅・ZEHなどの省エネ住宅を対象に金利引き下げプランを用意しています。支払利息を減らして費用負担を軽減できるので、住宅ローンの選択肢として検討してみて下さい。

まとめ

2025年には省エネ住宅基準への適合が義務化されるため、断熱性能や省エネ性能の低い住まいは建てられなくなります。また国が定める最低限の省エネ基準以外にもたくさんの省エネ住宅基準があるので、ご予算や求める性能に合わせて検討してみてください。

クレバリーホームは高性能な断熱材や省エネ設備など、これからのスタンダードとなる省エネ住宅づくりをサポートしています。全国のモデルハウスで断熱性や設備などをご覧いただけますので、ぜひお気軽にご活用ください。

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