注文住宅の土地探しの流れとチェックポイント|期間や住宅ローンの組み方も解説
注文住宅の満足度や住み心地は、建てる土地によっても大きく変化します。
希望条件に合う土地を上手に見つけられれば、理想のマイホームづくりに大きく近づくでしょう。
今回は注文住宅の土地探しについて、タイミングや相談先など基本的な内容を詳しく解説します。
理想の注文住宅が建つ土地を見極めるためのチェックポイント、失敗しないコツも紹介します。
目次
土地探しから注文住宅完成までの流れ
土地探しは注文住宅のプランや見積もりにも影響しますので、家づくり計画と同時になるべく早めの段階から取り組むのがおすすめです。
まずは、土地探しから注文住宅が完成するまでの大まかな流れを把握しておきましょう。
希望エリアを絞り込み土地の相場を調べる
まずは、注文住宅を建てたい希望エリアをある程度絞り込み、土地の相場を把握しましょう。
土地価格はエリアによって大きく変動するため、注文住宅の費用総額を大きく左右します。
通勤通学なども踏まえて希望エリアを絞り込み、予算内で注文住宅を建てられるか確認しましょう。
こちらで土地込みの注文住宅費用相場や、土地と建物の費用バランスについて詳しく解説しています。
候補の土地で注文住宅の見積もりをする
候補の土地をいくつかピックアップしたら、ハウスメーカーや工務店で注文住宅の見積もりを取ります。
土地だけ先に購入すると希望の広さや間取りの注文住宅を建てられないリスクがあるため、事前確認が必要です。
また、住宅ローンの審査でも間取り図や見積もりが必要になります。
住宅ローンの審査をする
候補の土地と注文住宅の見積もりが出そろったら、住宅ローンの審査をします。
住宅ローンの仮審査は見積もりが無くてもできますが、本審査は土地と建物の情報がそろっている必要があります。
こちらのコラムで注文住宅の住宅ローンの基礎知識をまとめていますので、あわせてご覧ください。
土地の購入と工事請負契約
候補の土地で住宅ローンの本審査が通ったら、土地の購入と建物の工事請負契約を進めます。
注文住宅のプラン内容や支払いのタイミングが確定しますので、見逃しや行き違いがないようにしっかり確認しましょう。
着工~引き渡し
土地の売買契約と建物の工事請負契約を結んだら、着工を経て引き渡しになります。
予定通り工事が進んでいるか、見積もりの内容通りに仕上がっているかなど、定期的にチェックしましょう。
注文住宅の具体的な段取りについてはこちらのコラムで詳しく解説しています。
注文住宅の土地探しは不動産会社?ハウスメーカー?
注文住宅の土地探しの依頼先としては、次のようにいくつかの選択肢があります。
※注文住宅の土地探し依頼先
- 不動産会社
- ハウスメーカーや工務店
- 自分で探す
結論としては、これから土地探しを始める場合は、家づくりと同時にハウスメーカーや工務店に相談するのがおすすめです。
建築のプロ目線で土地をチェックしてくれるので、土地選びによる失敗リスクを防ぎやすくなるのです。
また土地と注文住宅の総額が分かりやすいので、予算オーバーしにくいのも大きなメリット。
ハウスメーカーや工務店との土地探しのメリットは、こちらのコラムもご覧ください。
注文住宅の土地チェックポイント
実際に注文住宅を建てるための土地を探す際は、次のポイントをチェックしてみましょう。
用途地域
物件情報を見るときは、まず用途地域をチェックしてください。
用途地域とはその土地の使い方を決めるルールのことで、「都市計画法」によって住居系・商業系・工業系に分かれています。
例えば第一種低層住居専用地域は小規模な住宅や公共施設が中心なので、静かで快適な住環境が確保できることが多いです。
商業地域は住宅以外に大規模な百貨店や飲食店もつくれるため、利便性の高さが期待できます。
土地の用途地域についてはこちらのコラムもご覧ください。
形/方角
注文住宅を建てる土地は、一般的にキレイな四角形で東南方向の角地が人気です。
しかし現実的にはほかの方角や複雑な形の土地もあるため、予算やエリアの特性に合わせて選ぶ必要があります。
北向きの土地や異形地でも、技術力のあるハウスメーカーなら間取りの工夫で対応するのは不可能ではありません。
広い土地を見つけにくいエリアなら、狭小地で購入価格を抑え、その分建物にお金をかけるのも一つの考え方です。
ライフラインの引き込み状況
電気・水道・ガスなどライフラインの引き込み状況は、注文住宅の建築費用に影響する重要チェックポイントです。
水道やガスが引き込みされていない土地は、経路や距離によって付帯工事費などの追加費用がかかるケースがあります。
一度も家が建てられていない土地はライフラインが用意されていないこともあるので、契約前にチェックしましょう。
建築制限
土地にかかっている建築制限によっては、思うような注文住宅を建てられないこともあるので注意が必要です。
※建築制限の例
- 建蔽率/容積率
- 斜線制限
- 防火地域/準防火地域
建蔽率/容積率は床面積の上限を決める制限で、パーセンテージが小さいと希望の広さの家を建てられないこともあります。
防火地域や準防火地域に建てる場合、建物の構造や建材が指定されるため、建築費用やプランに影響します。
特別な建築制限がかかっている土地ではないか、必ずチェックしましょう。
利便性
注文住宅の建物とは直接関係ない部分ですが、土地の利便性は完成後の暮らしに大きく影響する要チェックポイント。
通勤の利便性や商業施設の充実度など、毎日の生活に支障がない土地を選びましょう。
また坂や階段が多い高台にある土地は、実際に住んでみると移動の負担が大きい場合などもあります。
敷地内のことだけでなく、少し視野を広げて暮らしやすさについてチェックしてみてください。
境界線
隣地との境界線がはっきりしていない土地は、境界の位置をめぐってトラブルになる可能性があるので注意しましょう。
境界石・境界杭などの目印が見当たらない土地は、登記書類などで境界の位置を確認したほうが良いかもしれません。
災害リスク
洪水や土砂崩れといった土地の災害リスクも、必ずチェックすべき項目です。
災害リスクは自治体が発行しているハザードマップを確認するのがおすすめ。
また国土地理院の古い地図を見るのも、地盤補強が必要な埋め立て地などを確認するのに役立ちます。
参考:国土交通省 国土地理院
近隣の治安
周囲の建物や通勤通学の経路など、近隣の治安状況もしっかりチェックしましょう。
空き家が多く人気がない場所、たまり場になっている場所などは注意が必要です。
建物側の工夫では回避できない要素なので、見逃さないようにしてください。
前面道路の幅や状況
土地に隣接する前面道路の幅や設置状況も、必ずチェックすべきポイントです。
建築基準法では「接道義務」が定められており、原則として幅員4メートルの道路に2メートル以上の間口で接していないと建物を建築できません。
また、接道義務を満たしている土地でも、前面道路の位置によっては、車を出し入れしにくいケースなどもあります。
実際に注文住宅を建てるとしたらどの場所が駐車場になるのかも考えつつ、前面道路の状況をチェックしてみてください。
地盤の状況
注文住宅の耐震性や耐久性に関わる地盤の状況も必ずチェックしましょう。
軟弱な地盤の土地は、地震や大雨などの際に、建物にダメージを受けるリスクが高くなります。
川や湖を埋め立てた土地や、傾斜地に盛土した土地などは、軟弱地盤であることが多いので注意しましょう。
軟弱地盤の土地でも地盤改良工事などで対策できることはありますが、その分付帯工事費が多くかかります。
日当たりや風通し
土地自体の日当たりや風通しは、注文住宅のデザイン性や快適性に大きく影響するポイントです。
土地全体の日当たりが悪い場合、間取りや窓の配置などで対策するのが難しくなります。
また、風通しが悪い土地も、外壁にコケが生えたり、室内にカビが生えたりする原因になります。
高低差
高低差のある土地は設計の難易度が高く、建てられる注文住宅が制限されることもあるので必ずチェックしましょう。
高低差をうまく活用できるケースもありますが、造成工事などが必要になり費用が多くかかる可能性があります。
また、土留めや擁壁工事が必要になることもあり、付帯工事費が多くかかるケースも。
通勤通学経路
最寄りのバス停や駅、学校までの通勤通学経路も、土地探しの要チェックポイントです。
最寄りの公共交通機関までのアクセスだけでなく、危ない場所がないかチェックすることが大切です。
日中や土日は静かな道に見えても、平日の朝や夕方は混雑して危険な場所も少なくありません。
できれば、実際に通勤や通学をする時間帯にチェックするのが理想的です。
失敗しない注文住宅土地探しのコツ
なるべく早くから取り組む
繰り返しになりますが、注文住宅の土地探しはなるべく早めに取り組むのが失敗を防ぐコツです。
早くから取り組むことで良い土地に出会える確率が高くなりますし、慌てて判断を間違えるリスクも軽減できます。
希望条件を整理する
実際に土地探しを始める前に、希望条件をリストアップして優先順位を付けておくのもおすすめです。
敷地面積・価格・通勤通学時間、日当たりなど、土地に求める条件をまずは一通りリストアップしましょう。
さらに優先順位を付けておくと、複数の土地を比較検討するとき判断しやすくなります。
相場を把握する
希望エリアが絞り込めたら、その地域全体の土地相場をなるべくリアルに把握しましょう。
相場を把握しておくと、土地にどれくらい予算を掛けるべきか分かりやすく、資金面の失敗を防ぎやすくなります。
市場をチェックしたり、国土交通省が毎年公表している「地価公示」などのデータを参考にしたりするのもおすすめです。
参考:国土交通省地価公示
日時などを変えて現地を確認
最終候補の土地は、実際に契約をする前に条件を変えて現地に足を運んでみるのがおすすめです。
時間帯や曜日を変えてチェックすることで見逃しを防ぎやすくなり、土地選びの失敗を回避できます。
少し時間と手間がかかりますが、いろいろな生活シーンを想定して現地確認してみましょう。
トータル予算を考える
土地単体で予算を考えると、注文住宅の見積もり段階でお金が足りなくなってしまうケースが多いです。
必ず土地と注文住宅両方の、トータル予算を考えるようにしましょう。
土地と建物どちらに費用をかけるべきかは、理想のライフスタイルや注文住宅を建てるエリアなどの条件でも変わります。
こちらのコラムで土地と建物の費用バランスや考え方について解説しています。
住宅プランと同時進行する
注文住宅の土地探しは、必ず住宅プランと同時進行で進めましょう。
土地を決めてから住宅プランを考えると、理想の間取りを実現できないケースがあります。
見積もりを依頼するハウスメーカーや工務店をある程度絞り込み、候補の土地にどれくらいの注文住宅を建てられるのか確認する必要があるのです。
前述したように、ハウスメーカーや工務店と注文住宅の土地探しをすることで、失敗や後悔を防ぎやすくなるのでおすすめです。
良い土地が見つからないときはどうする?
不動産市場は流動的なので、希望の条件や金額に合う土地がなかなか見つからないときもあります。
良い土地が見つからないときは、次のような取り組み方も試してみてください。
エリアや条件を変えてみる
今探しているエリアや条件で理想の土地が見つからないときは、少し選択肢を広げてみるのも一つの考え方です。
例えば最寄り駅を一つ広げてみるだけでも、選択肢が増えるので希望条件に合う土地が見つかる可能性はアップします。
住みたいエリアが明確に決まっている方も、少し地区を広げるなど条件を変えてみると、今までにない土地が見つかるかもしれません。
古家付き土地も検討してみる
注文住宅用の更地が少ないエリアの場合、古家付き土地も選択肢に入れると良い土地が見つかるケースもあります。
そもそも人気の高いエリアはすでに家が建っている可能性が高いため、更地より中古住宅の方が見つけやすいことも多いです。
築年数が経っている中古住宅なら、建物の価値が下がっていてほとんど土地のみの価格で購入できるケースも。
既存建物の解体費用と手間はかかりますが、交渉次第で売主に解体してもらえることもあります。
建物側の工夫で土地の希望条件を緩和してみる
南向きで日当たりが良く、十分な広さがあり価格も安い。そのような条件がそろった土地は理想的ですが、見つけるのは難しいです。
そのような場合は土地の条件を緩和して、建物側の間取りの工夫で解決できないか検討してみてください。
例えば日当たりが悪いイメージのある北側道路の土地でも、高窓で採光性を高めるなど、間取りの工夫で暮らしやすくおしゃれな注文住宅を建てることは可能です。
広い土地を見つけにくい都市部なら、狭小地を選択肢に入れて3階建てで対応するのも一つの考え方です。
注文住宅の土地探しでよくある質問
注文住宅の土地探しに取り組む際、質問に挙がることが多いポイントをまとめました。
注文住宅土地探しの裏ワザはある?
インターネットなどで土地探しの情報を集めると、「裏ワザ」「未公開物件」といった言葉を目にすることも多いです。
しかし注文住宅の土地探しにおいて、簡単に良い物件が見つかるような裏ワザは基本的にありません。
さまざまな理由で、一般公開されない未公開物件も存在します。
しかし売主の事情で公開できないケースなどもあり、必ずお買い得な土地というわけではありません。
そのような不確定な情報を求めるより、地道に土地探しを続けたほうが良い物件に出会える確率は高くなるでしょう。
大切なのは、信頼できるハウスメーカーを見つけて、理想の家が建つ土地を確実に選ぶことです。
家づくりと土地探し、どっちが先?
注文住宅を検討するとき、家づくりと土地探しをどのタイミングで始めるべきなのか迷う方が多いです。
結論からお伝えすると、注文住宅プランづくりと土地探しは同時に進行するのがおすすめです。
先に注文住宅のプランと見積もりだけ作成しても、選ぶ土地によって費用が変動するため正確な金額を知ることができません。
逆に土地だけ先に購入するパターンだと、建築制限で希望の家を建てられなかったり、地盤改良で追加費用がかかったりする可能性があります。
また先に土地をローンで購入する場合、住宅ローンより金利が高い「土地先行融資」「つなぎ融資」などが必要になるのもデメリット。
これから家づくりに取り組む場合は、ハウスメーカー探しと土地探しを同時進行で取り組みましょう。
土地探しの期間はどれくらい?
国土交通省が実施した令和5年度住宅市場動向調査によると、新築の土地取得時期は1年前が68.9%と最も多くなっています。
2年前は19.2%で、かなり少なくなります。
基本的には、注文住宅の完成目標から1~2年前を目安に動き始めるのが良いでしょう。
建築条件付き土地とは?
注文住宅用の土地を探していて見かけることがある建築条件付き土地とは、「一定期間内に決められた施工会社と工事請負契約を結ぶこと」を条件とした土地のことです。
基本的には一般的な注文住宅と同じように間取りやデザインを変更できますが、ハウスメーカーや工務店は自由に選べないということです。
また、指定の住宅会社によってはライフスタイルにマッチする間取りやデザインを選べないこともあるので注意しましょう。
まとめ
注文住宅の土地探しは、マイホームのクオリティを左右する重要な取り組みです。
はじめての土地探しは疑問や不安もたくさんありますが、ポイントを押さえてスムーズに進めていきましょう。
クレバリーホームは全国のモデルハウスで、住まいづくりに関するご相談を受け付けています。
間取りやデザインのことはもちろん、土地探しについてもサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。