陸屋根(フラットルーフ)ってどんな屋根?
「陸屋根(りくやね、ろくやね)」は、勾配が少なくフラットな形状の屋根です。
スタイリッシュなデザインであるうえに、屋根部分を屋上バルコニーなどに活用できる点が魅力です。一方で水はけが悪く、木造住宅にはあまり向かないと言われたりすることもあります。
今回は、陸屋根(りくやね・ろくやね)の特徴やメリット・デメリットと、陸屋根に欠かせない防水工事について解説します。
目次
陸屋根とは
「陸屋根(りくやね・ろくやね)」とは、ほとんど傾斜がなく水平に近い形状の屋根を指します。別名「フラットルーフ」と呼ばれることも。
雨水が流れ落ちるのに必要な屋根の勾配(傾き)が少ないために、日本の木造建築ではあまり見られない形でしたが、近年では防水技術の進化で採用されるケースも増えています。
モダンなイメージ、都会的なイメージを演出できるほか、屋上として利用できるなどの特徴があります。
陸屋根のメリット
陸屋根のメリットは、台風の被害を防止しやすいことや、陸屋根の部分を屋上やバルコニーとして活用できることなどです。
台風による風の被害を防止できる
陸屋根はほかの種類の屋根とは異なり、基本的にフラットな形状になっているため、風の影響を受けにくいことが特徴です。台風のような強い風が吹くときでも、屋根が破損する心配はほとんどありません。
陸屋根部分を屋上やバルコニーとして活用できる
陸屋根はほとんどフラットな形状なので、その部分を屋上やバルコニーとして活用できます。たとえば、ガーデニングやアウトドアスペースなどの用途です。屋根部分は日当たりが良いので、ガーデニングにはとくにおすすめです。また、太陽光パネルを設置する場合は、建物の向きに関わらず最も効率の良い向きと角度で設置することが可能になり省エネを意識した住宅にすることも可能です。
陸屋根のデメリット
陸屋根のデメリットは、水はけが悪いことや経年劣化で雨漏りが発生する可能性があることです。
水はけが悪い
陸屋根は全体的にフラットな形状なので、勾配がある屋根とは違って、雨や雪などが流れ落ちにくいです。後述するように、水はけの悪さが「雨漏り」につながるケースもある場合があるので防水施工や水はけを考えることが重要です。
断熱性が低くなる可能性がある
住宅や陸屋根の仕様・施工方法によっても異なりますが、陸屋根にすると断熱性能が十分でない場合もあります。断熱材などがしっかり施工されていれば問題はないですが、しっかり施工されていなければ、フラットルーフに面する室内が夏は暑く、冬は寒くなってしまいます。なので、デザイン性だけでなく、性能もしっかり確認するようにしましょう。
経年劣化で雨漏りが発生する場合がある
陸屋根の最大のデメリットが、経年劣化で雨漏りが発生する可能性があることです。前述したように、陸屋根は水はけが他の屋根形状と比べると悪くなります。その繰り返しによって陸屋根が経年劣化を起こし、徐々に雨漏りするようになるケースは少なくありません。そのため、陸屋根には基本的に「防水工事」が必要です。防水施工もメンテナンスが必要なので、定期的なメンテナンスの実施は必ず行いましょう。また、もしもの場合の保証内容等も確認するようにしましょう。
陸屋根には防水工事の実施が重要
陸屋根の難点が、水はけの悪さによる雨漏りのリスクです。そのため、陸屋根には「防水工事」が必須です。
陸屋根の防水工事の種類は?
陸屋根の防水工事には、大きく分けて5つの種類があります。それぞれの特徴やメリットについて見ていきましょう。
金属防水
金属防水は、防水面を金属で覆うことで、陸屋根の雨漏りを防ぐタイプです。軽量かつ耐食性・耐候性が優れています。しかし、他の防水工事とは異なり、ジョイント部分から水が染み込む恐れがあるため、複雑な形状の陸屋根には向いていません。また、コスト面でも比較的割高になる傾向があります。
FRP防水
FRP防水は、ガラス繊維で強化されたプラスチックを使って、防水面を保護するタイプです。耐食性・耐候性が高く、工期が短いことが魅力です。一方、費用が割高になる場合があるため面積が広い陸屋根にはあまり向いていないかもしれません。また、施工後は定期的な表面のコーティングのメンテナンスが必要になります。
ウレタン防水
ウレタン防水は、ウレタン樹脂で防水面を保護し、雨漏りを防ぐタイプです。柔軟性と弾性があるため、陸屋根の広さや形状を選ばずに工事でき、ほとんどの住宅に対応できます。しかし、ウレタン塗膜の乾燥に時間がかかるため、工期が長くなりやすいことがデメリットです。また、ウレタン樹脂は表面が柔らかいため、陸屋根の部分に重量物を置くことは難しくなります。
シート防水
シート防水とは、「塩化ビニールシート防水」や「ゴムシート防水」など、シート状の防水材で防水面を保護するタイプです。シートを貼るだけで施工できるため、施工費用が安く耐用期間が比較的長いことや、シートの色やデザインの選択肢が多いことが魅力です。ただし、複雑な形状の陸屋根には向いていません。
アスファルト防水
アスファルト防水とは、液状のアスファルトを重ね貼りして、防水層をつくるタイプです。防水性と耐久性が高いことが魅力ですが、陸屋根全体が重くなるので木造住宅には負担がかかります。ほかの工法と比べてメンテナンスの必要性が低いため、RC造住宅であれば有効な選択肢のひとつになるかもしれません。
陸屋根を採用するなら技術があるハウスメーカーへ依頼を
陸屋根の防水には、金属防水・FRP防水・ウレタン防水・シート防水・アスファルト防水の5つの方法があります。いずれも継ぎ目のシーリング・コーキングの劣化で漏水する可能性があるので、10年くらいの間隔で点検・メンテナンスが必要です。
そのため、陸屋根の採用を検討しているなら、信頼できるハウスメーカーを選びましょう。
他の屋根形状とのコンビネーションもおすすめ
屋根全体を陸屋根にする場合は、キューブ型の外観になります。木造建築の場合は、全体を陸屋根にする以外にも、ほかの屋根形状とのコンビネーションが採用されることも多いです。
例たとえば、以下のような「片流れ屋根と陸屋根」のコンビネーションは、モダンかつシャープな感じを演出できる魅力的なアイデアです。
まとめ
陸屋根を採用すると、「最上階の天井高を確保できる」「屋根裏部分を有効活用できる」などのメリットもあります。また、物の向きに関わらず日当たりが良いため、太陽光発電システムを設置した場合は、効率よく発電できて収益性が高い「エコ住宅」にもなります。
技術力・施工力があるハウスメーカーを選べば、非常にメリットが多い屋根だと言えるでしょう。ほかの屋根形状と比べて、ぜひ検討してみてください。
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