外壁タイルの目地なし施工とは?メリット・デメリットはある?
注文住宅で選べる外壁タイルは高い質感と耐久性が魅力ですが、実は複数の仕上げ方法があり、寿命やメンテナンス性に影響します。
一昔前までの外壁タイル貼りはモルタルで接着する「湿式工法」が主流でした。しかし、建材の進化によって接着剤を使った「乾式工法」が登場し、仕上げ方法の選択肢が増えているのです。
今回は外壁タイルの目地に注目し、新しい仕上げ方法である目地なし施工のメリット・デメリットについて深掘りしてみましょう。
目次
そもそも外壁タイルの目地とは?
目地とは、建材同士のすき間部分のことです。コンクリートブロック・レンガ・ガラスブロックなど、複数の建材を並べる際に目地を設けます。外壁タイルも1枚ごとの誤差や建物の揺れなどの影響を軽減するために、すき間をあけて貼るのが基本です。
目地部分にはすき間を埋めるための「目地材」を詰めるのが一般的でしたが、近年施工技術やボンドなど建材の進歩によって目地なし施工が選べるようになりました。
目地なし外壁タイルとは?
目地なし外壁タイルとは、タイル同士のすき間に目地材を詰めない仕上げ方法のことです。目地なし外壁タイルは、従来の「湿式工法」に代わり「乾式工法」が登場したことで選べるようになりました。
外壁タイルの家で昔から採用されてきた「湿式工法」は、砂とセメントを混ぜたモルタル材で下地にタイルを貼る方法です。
湿式工法では必ず目地部分にもモルタル材(目地材)を詰める必要がありました。目地材を詰めることで外壁タイル同士の密着度を高め、剥がれ落ちるリスクを軽減していたのです。
またタイルを貼りつけるモルタルは水分を吸うと接着力が低下してしまうため、目地部分から水が浸入すると剥がれ落ちるリスクが高くなってしまいます。目地材は水の侵入を防ぎ、タイルが剥がれ落ちるリスクを軽減するためにも欠かせないものでした。
しかし建築技術は日々進歩し、モルタルを使わず接着剤で外壁タイルを貼りつける「乾式工法」が登場しました。乾式工法によって、すき間に目地材を詰めない「空目地」が選べるようになったのです。
接着剤はモルタルよりタイルを貼りつける力が強く、水分で接着力が低下する心配もありません。目地材を詰めなくても、タイルが剥がれ落ちるリスクが少ないのです。
ちなみに、タイル同士のすき間を設けず、ぴったり並べる貼り方は「突きつけ」と呼びます。突きつけも目地なし施工の一種と言えますが、すき間が無いと地震などで揺れたときの動きを吸収できず、外壁タイルが割れたり剥がれたりするリスクが高くなります。突きつけは外壁タイルに適していないためこの記事では触れず、空目地について解説します。
目地なし外壁タイルのメリット
乾式工法による目地なし外壁タイルは、耐久性・デザイン性などさまざまなメリットを持っています。
タイルがはがれにくい
目地なし外壁タイルの新しい「乾式工法」は、タイルが剥がれにくいのが大きなメリットです。
従来の湿式工法は外壁タイルを貼りつけるモルタルの劣化により、剥がれ落ちるリスクがあります。実際、定期点検が必要なマンションや公共施設では、湿式工法の外壁タイルを対象に、6か月~3年以内に手が届く範囲の打診、10年に1度全面打診の検査が義務付けられています。
乾式工法はモルタルより新しい建材である接着剤で外壁タイルを貼りつけるため、接着力が強くタイルが剥がれるリスクを軽減できるのです。
目地が汚れない
外壁タイルの目地材を無くすことで、目地部分が汚れる心配がなくなるのも魅力的なポイント。
外壁タイル自体には雨で汚れが流れ落ちるセルフクリーニング機能がありますが、目地部分にはありません。せっかく汚れに強い外壁タイルを選んでも、目地が汚れてしまうと住まい全体の魅力が半減してしまいます。
実際にインターネットで検索してみると、目地についた黒ずみや汚れを落とす方法など情報がたくさんヒットし、苦労している方が多いことが分かります。しかし目地材自体を無くしてしまえば、そんな悩みもなくなります。
目地のメンテナンス費用を抑えられる
目地なし外壁タイルは、目地材を詰める仕上げよりメンテナンス費用を抑えられるのもメリットです。
ほとんど劣化しない外壁タイルはお手入れ不要で長く使える建材ですが、モルタルでできている目地材は劣化しメンテナンスが必要になります。モルタルは乾燥収縮や中性化などの経年変化が発生し、ひび割れや剥がれなどの症状が進行します。そのままだとタイルの裏側に水分が染みこんでトラブルの原因になるため、目地材を詰めなおす必要があるのです。
目地材自体を無くしてしまえば、このようなメンテナンスの手間と費用は掛かりません。ボンドが割れていないかなどの確認は必要ですが、目地材の詰めなおしは不要です。
乾式工法なら目地材が無くても防水性を保つ構造になっていますので、耐久性は安心してください。
モルタル貼りのような白華が発生しない
乾式工法の目地なし外壁タイルではモルタルを使用しないため、表面に白い粉がついたように見える「白華現象」が発生しないのも特徴です。
モルタルを使う湿式工法の外壁タイルでは、セメントに含まれている成分が雨などで溶け出し、結晶化して白華することがあります。目地材のモルタルは雨にさらされる部分なので、白華を完全に防ぐのは難しいです。
目地材なし外壁タイルなら白華する原因が無いので、見た目が変化してしまう心配がありません。
目地なし外壁タイルのデメリット
今までの外壁タイルで一般的だった目地材を無くす場合、デメリットがないのか気になる方も多いと思います。結論からお伝えすると、目地なし外壁にすることで特別なデメリットは発生しません。
昔の目地なし外壁タイルは、はがれやすいのがデメリットと言われていました。しかし、建築技術の進歩で今は改善されています。
目地なし外壁タイルがはがれやすいと言われていたのは、当時タイルを貼る接着剤の性能や施工方法が発展途上だったため、昔ながらのモルタル貼りより接着力が低かったことが理由です。前述したように目地材は接着力を補う役割も持っていたため、当時は目地なしだとはがれやすかったのです。
しかし今は接着剤の性能と耐久性がアップしているため、目地なしでもはがれやすくなることはありません。むしろ昔からずっと使われているセメントより、接着剤の方がはがれにくいと言われています。
まとめると、現代の建築技術なら目地なし外壁タイルのデメリットはありませんので安心してください。
まとめ
今回は外壁タイルの「目地」について詳しく解説しました。これから外壁タイルの家を建てるなら、新しい「乾式工法」で目地なし仕上げを選ぶのがおすすめです。
目地なし施工は、耐久性・メンテナンス費用・デザイン性などさまざまなメリットがあります。住宅会社によって外壁タイルの施工方法は違いますので、目地にも注目して選んでみてください。
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