外壁材ALCとは?建築に使われる遮音性の高いコンクリート素材
家づくりの重要なポイントになるのが、大切な家を風雨から守ってくれる「外壁材」の選択です。
我が家に合った正しい選択のために、代表的な外壁材の基礎知識を解説するシリーズ、今回は「ALC」。
内部に気泡をたっぷり含む特殊コンクリート「ALC」…さて、その特徴、メリット・デメリットとは?
目次
外壁材「ALC」とは?現代建築に欠かせない素材
ALCとは英語のAutoclaved Lightweight aerated Concrete(圧力処理済み軽量気泡コンクリート) の頭文字を取って名付けられたものです。
その名の通り、軽量で気泡が入っている特殊コンクリートの一種です。気泡が入っているという点が通常のコンクリートと全く違います。
ALCを板状に成型したものは「ALCパネル」と呼ばれ、日本では1960年代から生産が開始されました。
その後、高度成長期の大量建築時代にも利用され、現在でも建材として高層ビルから一般の住宅まで使われています。
ALCの主な原料は珪石、セメント、生石灰、アルミ粉末です。
これらを高温、高圧、蒸気を利用した環境下で、人工的に結晶化するとALCができます。
この結晶の内部には気泡が大量に含まれるので、ALCは軽くなるのです。
外壁材ALCのメリットとは?遮音性に優れているなど
外壁材ALCのメリットはどのような点にあるのでしょうか。それぞれ解説します。ALCを他の外壁材と比べた際のそれぞれの特徴については、以下の通りです。
遮音性に優れている
ALCの内部には気泡があります。そのため壁の中に空気層ができ、音の出入りを防いでくれるために、遮音性に優れているというメリットがあります。
そもそも外壁の表面に音が当たっても反射性が高いためでもあります。外や近隣の騒音が気になる環境にお住まいの方は、ALCを使った外壁にすると良いでしょう。「室内の音が近隣に響くのが気になる」という方にももちろんおすすめできます。
耐久性・耐震性が優れている
ALCは壁の中に気泡でできた空気層があるため、断熱効果が高く、火にも強くなります。また、夏の暑いときには暑さを抑制し、冬の寒さからも守ってくれるのです。
さらに、ALCの素材は他の素材に比べても軽いために、大きな地震などがきた際にも影響が少なく耐震性に優れているという特徴も備えています。
ALCはその耐久性・耐震性の高さから、居住用住宅だけではなく、高層ビルなどの建築にも使われているほどです。
環境に優しい
ALCの主成分には環境に優しい成分が多く含まれています。石灰やセメント、珪石などの自然由来の素材が利用されているため、環境に優しいと言われています。
住宅の高気密化が進むことにより、建材から発生する化学物質によって引き起こされるというシックハウス症候群が起こる心配もありません。また、アスベストなどの揮発性有機化合物も含有されていないので、安全な環境をつくることができます。
外壁材ALCのデメリットとは?防水性が低いなど
外壁材ALCのデメリットについて詳しく解説します。
価格が高い
外壁材ALCは総合的な機能性を備える分、サイディングやモルタルなどの外壁材と比較すると高価になっています。メンテナンス費用もそれなりにかかります。
防水性や耐熱・耐震性の高さ、環境に優しいなど、その機能性の高さを考えれば、コストパフォーマンスは悪くないものの、価格を気にする方の場合はデメリットに感じてしまうかもしれません。
防水性が高い
ALCは水分がしみ込みやすい素材でつくられているので、防水処理として塗装などのメンテナンスは10年を目安に行う必要があります。これは、ALCが気泡を含んでいるためで、気泡に水が浸透してしまった場合、水を吸収しやすいのです。
ALCが水を吸収してしまうと、本来の耐熱性や調湿性が低下してしまいます。そのため、ALCを外壁材として採用する場合には、ある程度防水ができるような対策を施す必要があります。
凍害を起こす可能性がある
寒冷地でALCを外壁に使う場合は、雨や雪、結露の水分、水蒸気の水分などが入り込むことで凍害を起こす可能性が高くなります。
上述したように、ALCは防水対策を施さなければ水を吸収しやすくなっています。水を吸収してしまった場合には、それらの水分が凍結することで、外壁の表面にひび割れなどができる凍害が起こる可能性もあります。寒冷地などでは特に注意が必要です。
ALCとコンクリートの違い
ALCと一般のコンクリートの違いについて気になる方もいるかもしれません。しかしそもそも、ALCもコンクリートの一種です。「ALC = コンクリート」という前提を頭に入れてみてください。
上述した以外にも、ALCのコンクリートとしての特徴は内部に形成された気泡により、水に浮くほど軽量な点にあります。 普通のコンクリートと比べると、4分の1ほどの重さになっているため、耐震性に優れているのです。
外壁を「ALC」にする時の注意点とは
あらためて、外壁材にALCを採用するときの注意点をご説明します。
上述したように、外壁をALCにする場合は、凍害や水による劣化を防ぐために防水性を高くしておく必要があります。また、耐吸水、耐吸湿施工をパネル本体はもちろん、パネルと繋がる屋根や基礎、窓などの開口部に至るまでしっかり行いましょう。
さらに、定期的に防水性能を見直すように点検する必要があります。
当然高い技術力、専門性が必要になってくるため、信頼できる施工業者に依頼できるかどうかが、成功と失敗を分けるポイントになるでしょう。
そのため、ALCを外壁に採用する場合には、アフターケアを含めた対応を確実にとってくれる信頼できる業者との家づくりをおすすめします。
ALCとは外壁材の一種
以上、外壁材ALCについてご説明しました。
外壁材ALCはコンクリートの一種です。ALCは内部に気泡を含んでいるために、遮音性に優れています。また、素材が軽くできているために、耐震性・耐久性も高いです。その性能の高さから、居住用住宅だけではなく、高層ビルの素材などとしても利用されています。また、環境に優しい素材でできていて、健康面でも安心です。
一方でALCは、他の外壁材と比べて価格が高い点がデメリットです。また、気泡を含んでいるために吸水性が高く、寒冷地などでは外壁がひび割れ破損してしまう凍害が発生するリスクもあります。凍害にならないよう、防水性を高める対策が必要になります。
防水性が不安な方は、専門知識豊富なハウスメーカーにぜひご相談ください。
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