inumoコラム

犬のお散歩。
飼い主なら知っておきたいキホン

2019.4.26

お散歩は、犬と暮らす上での欠かせないルーティンの一つ。
歩いてみると、犬は匂いを嗅いでみたり、立ち止まったり、いろんなものに興味津々。
時間がない時は、運動とトイレができればいいやと考えがちですが、犬にとってお散歩は飼い主さんとお出かけができる楽しいひと時です。とはいえ、お家の中で一緒に過ごしていても、犬にかまってあげられる時間は意外と少なかったりするもの。

お散歩は、飼い主さんと愛犬がしっかり向き合える大切な時間です。
初めて犬を飼う方はもちろん、普段のお散歩を一度キホンから見直してみませんか。
本コラムでは、飼い主さんも犬も安全に楽しめるお散歩のキホンを解説します。

お散歩がもたらすメリットとは?

普段、何気なくするお散歩にも、お互いに良い効果があります。飼い主さんが知っておくと、これからのお散歩をより良い時間にできるはず。それらのメリットをいくつかご紹介します。

1.体調のバロメーターになる

お散歩は、普段の生活では見えにくい犬の体調不良に気づくきっかけになります。
「昨日より歩くのが遅いな」、「歩き方がぎこちない」、「いつもと同じ距離なのにすぐに疲れる」などの異変は、犬と向き合える時間だからこそ気づくことができます。

2.社会性が身につく

同じお散歩ルートでも、日によって出会う人や外のニオイ、車、バイク、電車の音は異なります。それらの新鮮な刺激が犬の脳を活性化させ、社会性を育てていきます。
社会性を身につけることで自信がつき、外出先でも見知らぬ人に吠えたり、大きな音に怯えたりという行動が減り、落ち着いて過ごすことができます。

3.運動不足・ストレス解消

犬のストレスを発散し、体調の管理をしてあげるためにも重要です。
適度な運動は、骨や筋肉を丈夫にするだけではなく、内臓や自律神経も整えることができます。心身ともに満たされている犬は、飼い主さんの言うことを聞きやすくなり、しつけもスムーズにできます。

4.飼い主の健康にもつながる

お散歩は、出会った人や犬と交流し、毎日定期的に体を動かします。これは、健康維持や人との関わりのきっかけをつくり、犬だけでなく人にも良い効果をもたらします。
イギリスのリバプール大学の研究(2019年)で、イギリス中部の住民、約700人を対象に運動量の調査を行ったところ、犬を飼っている人は、お散歩を平均的に1週間に約7回、合計で220分(約3時間40分)の時間をかけていました。このため、犬を飼っていない人に比べて約4倍もの人が、生活習慣病などの予防に必要な運動量の基準値(週150分以上、中程度から激しい身体活動を行うこと)を満たしていることがわかりました。
運動量が増えれば、必然的に体力もつき免疫力も高まります。犬とお散歩することで、健康な生活をおくる飼い主は少なくないということがわかりますね。

さあ、お散歩に出かけよう!

愛犬と外出するには、リード以外にも必要なグッズがあります。より安全に楽しむために、最低限のグッズは準備しましょう。ドッグランやドッグカフェなどに立ち寄るときは、専用グッズを準備するとよいですね。

■お散歩に必要なグッズ

・首輪
首に装着するベルト状のもの。リードや迷子札を取り付ける時に必要です。犬の首と首輪のサイズが合っていることをしっかり確認しましょう。小さすぎるとストレスになり、大きすぎると外れてトラブルに繋がる恐れがあります。

・ハーネス(胴輪)
胸周りに装着するベルト状のもの。首輪に比べて接触面積が広く、首元への負担が少ないので、気管が弱い犬やシニア犬に適しています。素材によっては、脇周りがベルトで擦れて、毛が抜けたり炎症を起こしたりすることがあるので気を付けましょう。

・リード
犬の首輪やハーネスに取り付けて動きをコントロールするための丈夫な引き綱です。犬の大きさや体重に合う長さや素材のリードを選んで、安全にお散歩しましょう。

・迷子札
飼い主さんの住所か電話番号を書いた迷子札を、首輪やハーネスの金具、独立したチョーカーにつけると、リードが外れて迷子になってしまった場合に、保護した人が連絡をしてくれます。必ずつけましょう。(個人情報が気になる人は、かかりつけの動物病院名と、苗字、犬の名前を書いておくといいでしょう。)また、自治体に対する登録証明である鑑札、狂犬病予防注射を受けたことの証明である注射済票もこれに含まれます。

・トイレグッズ
ティッシュ、お尻拭きシートやウンチをとるためのスコップ、袋など。飼い主が持ち帰って処理するのがマナーです。必ず持ちましょう。

・水
お散歩中に犬が飲むための水。暑い日や長距離お散歩、運動をする際に準備しておきましょう。他にも公園や建物の近くでオシッコをしたときは、エチケットとして水で流すようにしましょう。

毎日のお散歩に必要なものは、一か所にまとめて置いておくのが便利。玄関などすぐに取り出せる場所にしまっておけば、時間のない朝でもサッと支度を済ませて、お散歩に出発できます。

玄関横に犬グッズ専用収納を!準備・後片付けがスムーズに。

■持っていると便利なグッズ

・ロングリード
広場で犬を遊ばせるときや、おいでのトレーニングをするときに便利です。遊ぶ場所と犬の能力や大きさを考え、安全で他の人の迷惑にならないようにしましょう。

・おやつ
お散歩中にトレーニングするとき、ご褒美用おやつが必要です。トラブルを避けるため、近くに他の犬がいるときはあげるのを控えましょう。

・おもちゃ
ドッグランや広場に行くときは、フリスビーやボールなどのおもちゃを持っていきましょう。

犬のお散歩は飼い主が主導で

毎日のお散歩で、吠えたりリードを引っ張ったりする子を連れて行くのは一苦労。小さいころからお散歩のトレーニングをすることは、将来一緒にお出かけする際にとても役立ちます。
基本的に、お散歩は飼い主さん主導で行います。飼い主の歩くペースに、犬が合わせるように歩き、もし犬が勝手に先へ進もうとしたら、リードを引っ張って止めるということを繰り返してください。犬が行きたいところに飼い主さんが付いていくというお散歩スタイルは、事故に繋がる可能性も高く、主従関係も逆転してしまいますのでやめましょう。
ただし、犬がお散歩を楽しめるように自由に動き回れる時間を作ることも必要です。広くて安全な場所では、リードの長さを緩めて思いっきり遊べるようにしてください。
飼い主が守ってあげる「しつけ」の時間と、犬が楽しめる「遊び」の時間をうまく使い分け、メリハリをつけてお散歩することを心掛けてみましょう。

お散歩デビューはいつから?

子犬を飼い始めたら、お散歩を始めるのはいつ頃がよいのでしょうか。お散歩デビューの時期にはさまざまな説がありますが、子犬の社会化期(生後3~12週頃)に抱っこをして、外の刺激を感じさせ、ワクチン接種が終わった後(生後14週頃)に本格的にデビューするのが一般的です。では、そのステップをご紹介しましょう。

1.お家に迎えて1週間程は、家の中でリードを付けて歩く
まずはお家の中で首輪やハーネスとリードをつけて歩くということを、慣れさせましょう。子犬の性格にもよりますが、お家に迎えて1週間頃から始めてみましょう。

2.お家に迎えて、2週間程は抱っこして
お家に迎えて2週間後から、無理しない程度に抱っこのお散歩も始めて行きましょう。子犬にとっては、外にある全てのものが未知の世界。少しずつ外の世界に慣れさせます。
ワクチン接種が終わる前の犬は、抱っこやキャリーに入れて外に連れ出すのがオススメです。この際の注意点は、他の犬と触れ合わせたり、地面を歩かせたりしないこと。外の空気に触れるだけで、子犬はたくさんの経験ができます。

3.いよいよお散歩デビュー!焦らず少しずつ
初めは家の近くの静かな場所で、短時間のお散歩をすることから始めてください。好きなおやつやフードを持って行き、お散歩中に少し与えることで、家の外でもいいことがあると覚えてくれます。外の環境に慣れてきたら、少しずつお散歩の範囲を広げていきましょう。

1日のお散歩はどれくらいがよいの?

一般的に科学的データを根拠した目安量はないといわれていますが、本ページでは犬のサイズ別に大まかに3つに分けています。厳密な運動量が知りたい場合は、犬種別にチェックするのがオススメ。また、犬の年齢や健康状態に合わせて、満足してくれる時間と回数を調整するようにしましょう。

・小型犬は30分~1時間程度を1回

1日1回、1回あたり30分~1時間程度行いましょう。チワワなどの超小型犬は、骨が細く、長時間の運動は体に負担をかけてしまうので、30分程度でよいでしょう。

・中型犬は30分?1時間程度を2回

1日2回、1回あたり30分?1時間程度行いましょう。ただ外を歩くだけだと十分なストレス発散にならず、「走る」こともお散歩に取り入れましょう。ドッグランを利用するのも良いですね。

・大型犬は30分~1時間程度を2回

1日2回、1回あたり30~1時間程度行いましょう。回数を分けて、「ゆっくりと長い距離を歩く」ことを意識するのがポイントです。

雨の日・暑い日・寒い日の対処法

毎日のお散歩では、天気や気温も気になるところ。憂鬱になるような環境でも、時間帯や準備を工夫すれば、少しでも快適に歩くことができます。また、人と犬では環境の感じ方も異なります。気を付けるべきポイントをご紹介します。

・雨の日

お散歩でしかトイレができない場合を除いては控えることをオススメします。
もしお散歩する場合は、飼い主も犬も雨具を装着し、飼い主は犬をしっかりコントロールできるようにすること。犬は、なるべく濡れず、汚れないように事前に足元の毛を短く切り、水たまりに近づけないようにしましょう。帰宅したら、足をよく拭くようにしましょう。

・暑い日(夏場)

比較的涼しくなる、朝と夕方がオススメです。暑い夏の昼にお散歩するのは大変危険。犬は素足なので、熱くなったアスファルトやマンホールで肉球を火傷してしまいます。また、犬は人より体高が低く、地面に近いので太陽光の照り返しを直接体に受けることに。これが原因で熱中症になることも少なくありません。毛が黒色、小型犬は熱を体にため込みやすく、体温調節が苦手な子もいるので要注意です。
また、強い日差しは強い紫外線が目の水晶体にダメージを与えてしまい、白内障にかかりやすくなることも。とにかく、夏の昼間は外出を控えましょう。

・寒い日(冬場)

反対に冬場は、日が昇って少し暖かな時間帯に行くのがオススメです。
真冬は、玄関先などで少し寒さに慣れさせるなどのウォームアップを行ってお散歩に行きましょう。室内からいきなり寒い外に出ると、人間と同じく犬も体に負担がかかります。
雪が積もっている時は、犬用の靴を履かせるなど、防寒対策をしましょう。

天候が悪い時は、無理せず家の敷地内で運動させてあげましょう。屋根のある半外の空間を作っておけば、雨の日でも濡れずに遊ぶことができます。

いつでも自由に走り回れる「ドッグラン」スペースが便利!

お散歩する道の特性を知っておこう

お家付近のお散歩ルートには、どんな道がありますか?
公園、山道、海・川沿いなど、振り返ってみると様々な場所がありますね。道ごとの特性を知り、愛犬の足元に配慮して歩くことを忘れないでください。一般的な5つの散歩道のメリットとデメリットを解説しましょう。

・舗装道路(車道・歩道)

平らで歩きやすく、危険物があってもすぐ見つかるので、お散歩しやすい道です。夏場は必ず飼い主がアスファルトを触り、熱くなっていないことを確認しましょう。

・未舗装道路

アスファルトより、熱くなりにくい道です。しかし、未舗装のため雨の日は水たまりができやすく、水はけが悪いので犬の足が泥で汚れやすくなります。

・草地

草で生い茂った道は、クッション性が高く比較的犬の足に優しいです。
しかし、背の高い草地はマダニや虫が潜んでおり、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)を始めとする病気を媒介するため、あまりオススメしません。歩いた後は、足回りの被毛を念入りにチェックし、ダニや傷が付いていないことを確認します。

・砂利道

水はけは良いですが、石が熱を吸収してかなり熱くなるので、夏場は火傷に要注意です。また、尖った小石で肉球に怪我を負う可能性もあります。

・雪道

犬は雪が大好きなので喜びますが、肉球が冷えて凍傷にかかる危険性があります。犬が歩くのを嫌がれば、引き返したほうがよいでしょう。お散歩回数をいつもより多めに分けて、1回分の時間と距離を短くするのも良いですね。

お散歩嫌いの犬・シニア犬のお散歩はどうする?

・お散歩嫌いの犬
お散歩嫌いな子は、近所に連れ出す、抱っこで外に出るなど少しずつ外に慣らしていくことがお散歩嫌い克服の近道です。他にも、外で何か怖い思いをしてお散歩嫌いになったという犬もいます。人間から意地悪された、車の音が怖かったなど、理由は様々。犬が外を嫌う理由にも目を向けることが必要です。

・シニア犬
無理のない距離にしましょう。年を取ると足が弱って歩くのがゆっくりになる、呼吸が整いづらいなどの症状も現れやすくなります。疲れすぎない、愛犬の気分転換になる距離のお散歩を楽しんでください。

お散歩後に気を付けたいこと

■愛犬のボディケア

1.足ふき

濡らしたタオルやシャワーなどで優しく汚れを落としてあげてください。指の間が濡れたままの状態だと蒸れてしまい、指間炎を引き起こすことも。必ず乾いたタオルなどで水気をとってあげてくださいね。

お散歩の後、サッと体や足を洗ってあげられるように、玄関近くに水栓を設置するのがオススメ。冬場のことも考えて、お湯が出るようにもしておきましょう。

お家の中まで汚れを持ち込まず清潔に!「玄関横水栓」

2.ブラッシング

犬の被毛についている砂やほこり・枯れ木などの汚れを落としましょう。ブラッシングをすることで、ノミやダニの早期発見・駆除にもつながります。草むらや芝生などで遊んだ日は、とくに念入りにケアを。

お家の中でブラッシングしてあげる時は、リビングや寝室など人のいる場所ではなく、飛び散っても掃除しやすい場所で。毛が人間のアレルギーを引き起こす場合もあります。

ブラッシングは専用スペースで。お掃除しやすいので後片付けラクラク。

■ごはんはお散歩後にあげよう

犬のお散歩の時間は、食前が良いとされています。もし食後にお散歩をすると、事故や怪我のリスクが高まります。その理由は、2つあります。1つ目は、食後は脳の血流低下により、眠くなって注意力が低下するため事故に繋がる確率が上がること。2つ目は、食後に運動すると膨らんだ胃が腸と絡まってしまい、血流障害が起きる胃捻転になりやすいことがあります。
どうしても食後にお散歩をせざるをえない場合は、食後3時間は空けるか激しい運動を避けることをオススメします。

どうしても時間がない時はお散歩代行を

仕事やケガ、病気などでお散歩に行くことができない方向けに、お散歩代行というサービスがあります。インターネットで簡単に申し込みが可能で、料金は1頭30分程度のお散歩で3000円程度。
犬の癖や性格、お散歩コースなどをじっくりと相談して、事前に打ち合わせできるところを選ぶと安心ですね。

より良いお散歩ライフを!

お散歩のキホンを踏まえて、愛犬と散歩に行ってみましょう!新たな一面や今まで気づかなかったポイントが見えてくるかもしれません。
お散歩は、毎日一緒のようで、周囲や愛犬の環境は日々変わります。犬によって性格も体格も様々。好みや苦手なことも違います。愛犬の目線で世界を見てみると、些細なことも新鮮に感じ、心を動かされることも。
じっくりと愛犬に向き合って、より深い信頼関係を築きましょう!

×
クレバリーホーム LINE 公式アカウント 友だち募集中