傾斜地に家を建てるメリット・デメリット|購入前のチェックポイントとハウスメーカー選びのポイントも

マイホームを建てるための土地探しをしていると、傾斜地の物件が周辺相場より安く販売されているのを見かけることも多いのではないでしょうか。
傾斜地は魅力的な価格や日当たり・眺望などのメリットがある一方、平らな土地と比べた地盤改良費用や災害リスクなどのデメリットも気になるところです。
傾斜地にはメリット・デメリット両面があり、事前にチェックすべきポイントを押さえておけば、コストを抑えながら眺望や日当たりに恵まれた家づくりも可能になります。
そこでこの記事では、傾斜地の基礎知識からメリット・デメリット、購入前に確認すべきポイントなどの情報をまとめました。
傾斜地でも安心して家づくりを任せられるハウスメーカーの選び方も解説しますので、ぜひ住まいづくりにお役立てください。
目次
そもそも傾斜地とは

傾斜地とは、敷地内に高低差がある土地を指す言葉で、ゆるやかな坂状の土地も含む広い意味で使われます。
しかし法律上、傾斜地を明確に定義する基準はありません。
一方、一定以上の高低差や勾配がある土地は「がけ地」として扱われ、自治体の「がけ条例」で具体的な基準が定められています。
基準は自治体ごとに異なりますが、一般的には高さ2mまたは3mを超え、勾配30度(もしくは1/2)を超える土地をがけ地とする自治体が多いです。
さらに斜面の規模が大きい土地では、「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されている場合もあります。
このように、傾斜地といっても「法規制のない緩やかな土地」から「がけ条例の対象」「急傾斜地崩壊危険区域の対象」まで段階があり、該当区分によって建築のしやすさや必要な費用が変わってきます。
この記事では、上記のようなさまざまな基準の土地を傾斜地として扱い、家づくりの際に必要な知識をまとめました。
傾斜地に家を建てるメリット

傾斜地には、価格の安さだけでなく家づくりにおけるさまざまなメリットがあります。
相場より安く購入しやすい
周辺の土地相場より安い価格で販売されていることが多く、取得費用を抑えやすいのは傾斜地の大きなメリットです。
傾斜地には後述するデメリットもあるため、平地より検討する方が少なく、その分価格が抑えられる傾向があります。
土地が安い分基礎や擁壁工事が割高になるケースもあるものの、上手く見極められればトータルでは費用を抑えられる可能性も高いです。
眺望を活かした開放的な住まいをつくりやすい
南側に開けた傾斜地は視界を遮る建物が少なく、街並みや自然を見渡せる眺望を確保しやすいのもメリットの1つです。
窓からの景色を楽しめるリビングをつくるなど、平坦地では得にくい開放感のある暮らしを実現しやすいのは大きな魅力です。
日当たりや通風を確保しやすい
高台の傾斜地は周辺の建物との高低差があるため、1年を通じて安定した日当たりや風通しを確保しやすい点もメリットです。
平地のように周囲を建物に囲まれにくいため、庭や室内に自然光や風を取り入れやすくなります。
オリジナリティのある家を建てやすい
高低差を活かし、傾斜地ならではのオリジナリティのある間取りを実現しやすい点もメリットです。
フロアの高さをずらして開放感を生む「スキップフロア」や、斜面を掘り込んで駐車スペースを確保する「掘り込みガレージ」など、土地の形状を個性として活かす設計も人気です。
傾斜地に家を建てるデメリット

傾斜地には多くのメリットや魅力がある一方で、購入前に知っておくべきデメリットもあります。
具体的な対策や考え方を掘り下げる前に、どのようなデメリットがあるのかしっかり把握しておきましょう。
災害時の被害リスクが高い
傾斜地は、集中豪雨や地震の際に土砂災害が発生するリスクが平坦地より高くなる点が大きなデメリットです。
特に、「急傾斜地崩壊危険区域」や「土砂災害警戒区域」に指定されている土地では、大雨や地震の際の土砂災害で住まいが大きなダメージを受ける可能性があります。
| 土砂災害発生件数 | 家屋被害 | |
|---|---|---|
| 令和7年 | 578件 | 241件 |
| 令和6年 | 1,433件 | 705件 |
| 令和5年 | 1,471件 | 262件 |
| 令和4年 | 795件 | 284件 |
| 令和3年 | 972件 | 291件 |
| 令和2年 | 1,319件 | 252件 |
梅雨の雨量などの変化によりばらつきはありますが、毎年土砂災害による家屋被害は数百件単位で発生しています。
土砂災害の完全な予測は難しく、傾斜地に家を建てる以上少なからず発生するリスクです。
建築費用が多めにかかる
傾斜地に家を建てる際は、平らな土地に比べて建築費用が多めにかかるケースが多い点もデメリットです。
前述したように相場より土地価格が安いのはメリットですが、造成工事や擁壁工事、基礎工事などが高額になるとトータルでは高くつくリスクも考えられます。
土地価格の安さだけで判断せず、造成・擁壁費用を含めたトータルコストで検討することが重要です。
建築制限を受けやすい
がけ条例や急傾斜地崩壊危険区域などに指定された土地では、崖から建物の距離や擁壁の設置義務など、建築時の制限を受けることがあります。
制限の内容によっては希望する間取りや建物の配置が難しくなり、理想のマイホームを建てられないリスクも考えられます。
駐車場の設計が難しい
道路と敷地に高低差がある傾斜地では、駐車スペースを確保する際に地面を掘り込んだり、スロープやカーゲートを設置したりする工夫が必要になります。
土地の形状によっては、平坦地のように自由な位置に駐車場を配置できないこともあります。
また、駐車場の間口方向に傾斜が付いている場合、カーゲートの設置が難しいケースも少なくありません。
生活が不便になることもある
傾斜地で道路から玄関や室内までの高低差が大きくなるケースでは、階段の上り下りが日常的な負担になるのがデメリットです。
間取り側で工夫をしても、敷地自体の高低差があると完全なバリアフリーにはできません。
また、周辺一帯が傾斜地の場合、買い物や通勤などの外出・帰宅時に坂道の上り下りが負担になることもあります。
傾斜地を購入する前のチェックポイント

傾斜地での家づくりを検討する際は、土地を購入する前に以下のポイントを事前に確認し、前述したデメリットやリスクを回避しましょう。
切土と盛土の確認
傾斜地に家を建てる場合、平らな地盤をつくるために「切土(もとの地盤を削る方法)」や「盛土(土を盛る方法)」による造成が必要になります。
どちらの工法になるか、あるいは両方が組み合わされるかによって、地盤の強度や必要な工事費用は大きく変わります。
切土はもとの地盤をそのまま活かすため締まって安定しやすいのに対し、盛土は新たに土を積み上げるため地盤が緩く、不同沈下や地震時の滑動崩落のリスクが高くなるため注意が必要です。
土地の購入前に、家を建てるためにどの部分が切土になり、どの部分が盛土になるのかを事前に確認しておきましょう。
また、その土地一帯が大規模な盛土によって造成された「大規模盛土造成地」に該当していないかも、自治体が公表するマップなどで確認しておきたいポイントです。
擁壁の有無や状態
高低差の大きい傾斜地では、建築計画に影響する擁壁の有無や状態も購入前にチェックすべきポイントです。
高さ2メートルを超える擁壁がある場合は、家を建てる際に建築確認申請の対象となります。
既存の擁壁が建築確認を受けた「検査済証」がない場合や、建築基準法をクリアしていない不適格擁壁がある場合は、大規模なやり直しや補修が必要になる可能性があります。
擁壁のチェックポイントは以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
法規制による建築制限
傾斜地での家づくりを検討する際は、事前に法規制による建築制限についてチェックすることも大切です。
前述したように、建築制限が厳しい土地では理想の家づくりができなくなる可能性があります。
ある程度の広さがある土地でも、がけ条例によって家を建てられる範囲が制限されないか、希望の広さや間取りを実現できるか確認が必要です。
自治体の窓口などでも該当する条例や法令を確認できますが、購入前にハウスメーカーに相談するのが確実な方法です。
どの土地にも共通することですが、傾斜地の場合は特に、ハウスメーカーに事前相談して希望の家が建つか確認しましょう。
ハザードマップで災害リスクを確認
傾斜地を購入する前に、自治体が公開しているハザードマップで災害リスクについて必ずチェックしましょう。
ハザードマップでは、地図上で土砂災害警戒区域に指定されているエリアを視覚的に確認できます。
候補の土地が土砂災害警戒区域などに該当していないかチェックすることで地滑りや土石流などのリスクが高いエリアを回避しやすくなります。
完成までにかかるトータル費用の把握
傾斜地は販売価格だけで判断せず、造成工事・擁壁工事・地盤改良工事・外構工事などを含めた、住まいづくりにかかる総額で資金計画を立てることが重要です。
あらかじめ総額を把握してから購入を判断することで、予算オーバーを防ぎやすくなります。
まずは住宅ローン計画を踏まえた総額予算を明確にしたうえで、ハウスメーカーに相談しその金額内で家を建てられるか確認してから土地の購入を判断しましょう。
生活利便性をシミュレーションする
道路から玄関までの高低差や、周辺一帯の坂道の勾配は、実際に現地を歩いてみないと分かりにくいポイントです。
買い物や通勤・通学時の移動、荷物の運搬などを具体的にイメージしながら、日々の生活動線をシミュレーションしておきましょう。
傾斜地の家づくりのハウスメーカー選びのポイント

傾斜地での家づくりの失敗や後悔を防ぐためには、ハウスメーカー選びも重要なポイントになります。
実際にハウスメーカーを比較検討する際は、通常の視点にくわえて次の2点をチェックしてください。
傾斜地での施工実績があるか
傾斜地の家づくりには、地盤調査や造成計画、擁壁の設計・施工、建築制限を踏まえた設計プランなど、平坦地とは異なる専門知識が求められます。
傾斜地での施工実績が少ない住宅会社だと、想定外の追加費用が発生したり、安全性に不安の残る工事になったりするリスクがあります。
過去の施工事例や、傾斜地特有の設計提案力を確認したうえで依頼先を選ぶことが重要です。
地盤保証などのサポートがあるか
土地探しの工夫でリスクが低い傾斜地を選んでも、平坦地に比べて地盤の不同沈下が発生する可能性はどうしても高くなります。
万が一地盤に関するトラブルが発生した際に備えて、地盤保証などのサポートが充実しているハウスメーカーを選ぶのも大切なポイントです。
例えばクレバリーホームでは、オプションで「地盤35年一括保証」を用意しています。
引き渡し日から35年間、地盤の不同沈下に起因する建物の損害を1事故につき最大5,000万円まで保証する制度で、原状回復のための補修費用に加え、補修工事中の仮住居費用も対象に含まれます。
傾斜地の家づくりでよくある質問

最後に、傾斜地での家づくりを検討するときによくある質問にお答えします。
Q.傾斜地は住宅ローンや融資で不利になる?
A.必ず不利になるわけではありません
傾斜地は平坦地に比べて販売価格が安い反面、担保評価が低くなりやすく、希望額の融資を受けにくいケースがあります。
金融機関は土地の担保評価額に一定の掛け目を乗じて融資可能額を算出しますが、造成や地盤改良が済んでいない未整備の傾斜地は評価が下がりやすい傾向があります。
ただし審査基準は金融機関ごとに異なるため、候補の土地が決まった時点で金融機関に相談しておくのがおすすめです。
Q.傾斜地は将来売却しにくい?
A.売却金額は低くなる傾向があります
傾斜地は平坦地に比べて資産価値が低くなる傾向があり、売却時は不利になる可能性があります。
また、前述したようなデメリットやリスクのイメージが先行し、買手を見つけにくいケースも多いです。
ただし、眺望や日当たりなどの条件が良い土地では、住環境を重視する方の需要も見込めるため、一概に売却しにくいとは言い切れません。
まとめ
傾斜地には、価格の安さや眺望・日当たりのよさといった魅力がある一方で、造成・擁壁工事の費用や災害リスク、建築制限など、平坦地にはないデメリットもあります。
しかし、購入前のチェックポイントやハウスメーカー選びのコツを押さえておけば、こうしたリスクを事前に見極めたうえで傾斜地での家づくりの検討を進めることができます。
傾斜地での家づくりを成功させるためには、土地選びの段階から施工実績が豊富なハウスメーカーに相談することが大切です。
クレバリーホームでは、傾斜地を含めた多くの家づくりで培ったノウハウと、オプションの「地盤35年一括保証」などでサポートいたします。
傾斜地の購入を検討している方は、候補地が決まった段階でぜひ一度ご相談ください。




