長期優良住宅は後悔する?メリット・デメリットと、必要か判断するための基礎知識

マイホームづくりについて調べていると、長期優良住宅という言葉を目にすることがありますが、ご自身の住まいに採用すべきか迷う方は少なくありません。
長期優良住宅の認定を受ければ税金やローンの優遇を使える一方で、費用や手間が増える面もあり、「後悔した」「いらない」といった声もゼロではありません。
そこでこの記事では、長期優良住宅のデメリットと後悔例、それでも選ばれるメリット、必要かどうかの判断基準を分かりやすくまとめました。
※本記事の内容は2026年10月時点の情報をもとに作成しています。
長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、国が定めた基準をクリアした「長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅」のことを指します。
一般的な住宅は建築基準法の基準を満たせば建てられますが、長期優良住宅は数世代にわたって住み継ぐことを前提に、性能と維持管理の両面が問われます。
一戸建ての長期優良住宅の主な認定基準は、次のとおりです。
| 項目 | 基準(戸建て・新築) |
|---|---|
| 耐震性 | 耐震等級2以上、または耐震等級1かつ安全限界時の層間変形角が1/100以下(木造は1/40以下)。免震建築物でも可 |
| 劣化対策 | 劣化対策等級3(構造躯体等)。木造は床下空間の高さの確保と点検口の設置も必要 |
| 維持管理・更新の容易性 | 維持管理対策等級3(専用配管) |
| 省エネ性 | 断熱等性能等級5以上(ZEH水準)、一次エネルギー消費量等級6 |
| 広さ | 75㎡以上(いずれかの階で40㎡以上、階段部分を除く) |
| 維持保全計画 | 30年以上を対象に、点検は10年以内の間隔。地震や台風のあとは臨時点検 |
| 居住環境・災害配慮 | 地区計画などの区域内ではその内容と調和。災害リスクの高い地域では、自治体が定める措置 |
参照:住宅性能評価・表示協会 長期優良住宅認定制度の概要(新築版)
基準は耐震、劣化対策、省エネ、広さ、維持保全などの多方面にわたり、一般的な住宅より高い水準の性能や維持管理計画が求められます。
長期優良住宅の認定を受けるには、これらの基準を満たしたうえで、着工前に建築地を管轄する自治体へ申請します。
認定基準の1つである断熱性能について、関連コラムで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
長期優良住宅のデメリットと後悔例

長期優良住宅の後悔は、費用・時間・手間が増えることを、契約前に想定していなかった場合に生まれやすくなります。
代表的なデメリットを、対策とあわせて見ていきましょう。
スケジュールが長くなり入居が遅れる
長期優良住宅は、着工前に審査の手順が加わるため、入居までのスケジュールが長くなりやすいのがデメリットです。
認定は着工前に申請する決まりのため、設計の確定、技術的審査、自治体への提出という順で進んでから工事が始まります。
引き渡しが遅れると、遅れた期間の家賃や仮住まいの費用がかさむ場合があります。
対策としては、契約前に認定にかかる期間をハウスメーカーに確認し、退去日や住宅ローンの実行時期に余裕を持たせることが大切です。
初期費用が増加する
申請の手続きや認定基準に合わせた性能アップのために、初期費用が増加するのも長期優良住宅のデメリットです。
申請では自治体への手数料や審査機関への支払いが生じ、性能アップでは断熱材や窓、構造部材の仕様変更などが発生します。
特に、ハウスメーカーの標準仕様が認定基準と離れているほど、追加費用が大きくなる傾向があります。
対策としては、認定ありとなしの2パターンで見積もりを出してもらい、減税や補助金、将来のメンテナンスコストの差などを含めて比較検討することが大切です。
設計が制限されて希望を実現できない
長期優良住宅では、耐震性と断熱性の基準を満たす必要があるため、間取りやデザインの自由度が下がる場合があります。
例えば、大きな吹き抜けや広い開口、ビルトインガレージは、壁の配置や構造の補強で調整が必要になることがあります。
広さにも条件があり、一戸建ては全体で75㎡、1階部分で40㎡(階段を除く)が最低ラインです。
小ぶりな平屋を検討中の場合は、広さの基準に届くかを早めに確認しましょう。
対策としては、要望に優先順位をつけたうえで、プランの初期段階から認定を前提に相談し、希望とのずれを確認することが大切です。
長期の維持保全計画が必要で、リフォーム時は手続きも発生する
長期優良住宅の認定を受けるためには、維持保全計画(修繕の予定表)を提出する必要があり、定期的な点検やメンテナンスの手間と費用が発生します。
30年以上にわたって10年を超えない間隔で点検を行い、傷みに応じた補修を続ける必要があり、履歴の保存も必須です。
点検や修繕そのものは一般的な住宅でも必要ですが、維持管理について厳しい基準が設けられている点はデメリットといえます。
維持保全を計画どおりに行わず、自治体からの改善の指導にも応じない場合は、認定が取り消されることがあります。
また、増築や大幅な間取り替えなど、認定を受けた内容に影響するリフォームをする場合、着工前の確認や変更の手続きが必要となることも。
手続きを知らずに工事を進めると、認定の内容と建物の実態がずれてしまう可能性があります。
対策としては、引き渡し前に点検の時期と費用の目安、有償になる範囲を書面で確認し、修繕費を計画的に積み立てておくことが大切です。
リフォームを考え始めた段階で、建てたハウスメーカーか自治体に認定住宅であることを伝え、必要な手続きを確認することも欠かせません。
長期優良住宅の認定を受けるメリット

初期費用や工期の長さといったデメリットがある反面、長期優良住宅には補助金や優遇制度といったメリットもあります。
税金・ローン・保険の優遇を利用できる
長期優良住宅の認定を受けると、住宅ローン減税や固定資産税など一般的な新築より手厚い優遇制度の対象となります。
主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 長期優良住宅 | 省エネ基準適合住宅(一般的な新築) |
|---|---|---|
| 住宅ローン減税の借入限度額(2026・2027年入居の新築住宅) | 4,500万円(子育て世帯等は5,000万円) | 2,000万円(子育て世帯等は3,000万円) |
| 固定資産税の減額期間(戸建て) | 5年間 | 3年間 |
| 不動産取得税の控除額 | 1,300万円 | 1,200万円 |
| 登録免許税(所有権保存登記) | 0.1% | 0.15% |
住宅ローン減税は、借入限度額いっぱいまで残高がある場合、控除額の上限が省エネ基準適合住宅より年17.5万円多く、13年間で最大227.5万円の差になります。
さらに、長期優良住宅は耐震性の基準が高いため、地震保険料の割引(等級2で30%、等級3で50%)が使え、フラット35Sでも当初5年間の金利が引き下げられます。
いずれの優遇にも入居時期や世帯などの要件があるため、利用前に最新の条件を確認しましょう。
補助金を活用できる
長期優良住宅は、一般住宅より使える補助金の種類が増え、有利な条件になるケースも多いです。
| 区分 | 補助額(1戸あたり) | 対象の世帯 | 主な性能の基準 |
|---|---|---|---|
| 長期優良住宅 | 75万円(1〜4地域は80万円) | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 長期優良住宅の認定 |
| ZEH水準住宅(注文住宅の新築は2026年9月30日で受付終了) | 35万円(1〜4地域は40万円) | 子育て世帯・若者夫婦世帯 | 断熱等級5以上、一次エネルギー消費量の削減率20%以上 |
| GX志向型住宅 | 110万円(1〜4地域は125万円) | すべての世帯 | 断熱等級6以上など、より高い水準 |
- 子育て世帯:2025年4月1日時点で18歳未満の子がいる
- 若者夫婦世帯:夫婦のどちらかが2025年4月1日時点で39歳以下
例えば、子育て世帯・若者夫婦世帯が長期優良住宅を選ぶと、みらいエコ住宅2026事業の補助額は75万円(1〜4地域は80万円)で、認定を取らないZEH水準住宅の35万円(同40万円)より40万円多くなります。
補助金は年度ごとに内容が変わるため、建築の時期に合わせて最新の制度を確認することが大切です。
みらいエコ住宅2026事業については、関連コラムで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
将来売るときに性能を証明しやすい
長期優良住宅は認定通知書や点検・修繕の履歴が残るため、売却や賃貸の際に、性能を客観的に示しやすくなるのも有利なポイントです。
買い手は耐震性や断熱性の水準を書類で確認でき、比較検討の材料として扱いやすくなります。
ただし、立地や築年数によって評価は変わるため、認定があれば売却価格が必ず上がるとは限りません。
所有者が変わる場合は、自治体への承継の手続きが必要で、維持保全の計画も引き継がれます。
長期優良住宅が「いらない」と言われる理由と、必要かどうかの判断基準

ここまでのメリットとデメリットを踏まえて、長期優良住宅はいらないと考える方がいるのも事実です。
必要かどうかは、家族の状況や住まいへの考え方によって変わります。
いらないと言われる主な理由は、次のとおりです。
- 省エネ基準の義務化:2025年4月から、すべての新築で断熱等級4が義務となり、認定がなくても最低限の断熱性能は確保される
- 費用の増加:申請費用や性能アップの費用が、減税や補助金で戻る金額を上回る場合がある
- 維持保全の負担:30年以上にわたる点検と記録の保存、リフォームや売却時の手続きが必要
- 優遇の対象外:補助金は子育て世帯・若者夫婦世帯が中心で、世帯によっては使えない
2025年4月からすべての新築で断熱等級4が義務となったため、費用をかけて長期優良住宅の基準である断熱等級5を満たさなくても良いと考える方もいます。
また、メンテナンスの費用と手間は認定の後も続くため、住む期間や維持管理への考え方で、負担に感じるかどうかが分かれます。
長期優良住宅の認定が必要かどうか判断するときは、次の3つの基準で考えてみましょう。
| 判断の基準 | 認定を取る方向 | 認定なしも選択肢 |
|---|---|---|
| トータルコスト | 減税・補助金・保険料の割引が、増える費用(申請、性能アップ、点検や修繕)を上回る | 優遇を使える条件に当てはまらず、費用の回収が見込みにくい |
| 維持管理 | あらかじめ維持管理計画を立てて住まいを長持ちさせたい | 必要に応じて点検や修理の時期を調整したい |
| 手続き | 着工前の申請やリフォーム・売却時の手続きが負担にならない | なるべく手続きの負担を減らし、早めに入居したい |
長く住み続け、点検と修繕の計画も立てられるなら認定を取る方向で、手間を避けたいなら、同等の性能を確保したうえで認定なしも選択肢になります。
また、実際に長期優良住宅の認定を受けるべきかどうかは、住まいづくりのプロに相談して総合的に判断するのが確実です。
クレバリーホームは全国のモデルハウスとWEBで、住宅性能や制度を含めた住まいづくりのご相談を受け付けています。
長期優良住宅の必要性やプランの比較などもご提案できますので、ぜひお気軽にご相談ください。
長期優良住宅に関するよくある質問

長期優良住宅を検討するときに迷いやすい疑問に、結論からお答えします。
Q.点検をしないとどうなりますか
A.自治体から報告や改善を求められ、従わない場合は認定が取り消されることがあります
自治体によっては、工事の完了から概ね5年・10年・20年・30年が経過した認定住宅を無作為に抽出し、維持保全の状況の報告を求めています。
報告を怠ったり、虚偽の内容を伝えたりすると、30万円以下の罰金の対象です。
点検や修繕を計画どおりに行わず、改善の指導にも応じないと、認定が取り消され、条件付きで受けた補助金の返還を求められる場合があります。
点検が難しい事情があるときは、自治体やハウスメーカーへ早めに相談しましょう。
Q.建てた後から認定を取れますか
A.制度上は可能ですがハードルは高いです
新築の認定は着工前の申請が原則ですが、完成後に「建築行為なし認定制度」を使えるケースもあります。
建築士による現況の検査と、登録住宅性能評価機関の確認を経て、自治体へ申請する流れです。
ただし、建物の状態が基準に届かない場合は、認定を受けられないこともあります。
また、コスト面についても新築時に認定を受けたほうが有利になるため、なるべく家を建てる前に必要性を判断しましょう。
まとめ
長期優良住宅は、税金・ローン・補助金の優遇を使える一方で、着工前の申請や30年以上の維持保全という手間と費用が伴う制度です。
後悔を避けるには、増加する初期費用や手間と、優遇制度や補助金のメリットを比べて、必要性を正しく判断することが大切です。
クレバリーホームは、全国のモデルハウスとWEBで長期優良住宅を含む住まいづくりのご相談を受け付けています。
長期優良住宅の認定を取るべきか迷っている方も、ご家族の状況やプランに合わせてご提案しますので、ぜひお気軽にご相談ください。





